モバイル

iPhoneがドイツでも販売差止に、Qualcommによる特許侵害の訴えが認められる


中国でiPhone Xを含む7モデルの販売差し止め命令を受けたばかりのAppleが、今度はドイツで一部iPhoneの販売差し止めを命じられることとなりました。ドイツや中国といった大きな市場で主力製品のiPhoneが販売できなくなることはAppleにとって大きな痛手ですが、その背後にはチップメーカーのQualcommが存在しています。

Germany to ban some iPhone sales following Qualcomm patent case ruling
https://www.cnbc.com/2018/12/20/qualcomm-reportedly-wins-injunction-against-apple-in-munich.html

Qualcommは中国の裁判所で「Appleが自社の特許を侵害している」と主張し、訴訟を起こしました。その結果、裁判所はAppleに対してiPhone 6s/6s Plus/7/7 Plus/8/8 Plus/Xという7モデルの販売差し止めを命じる仮処分を決定し、これらの製品は中国では輸入・販売・販売の申し出を行うことができなくなりました。

iPhoneに中国で販売差止命令、AppleへのQualcommの特許侵害の訴えが認められる - GIGAZINE


これと並行して、Qualcommはドイツの裁判所でIntel製チップを搭載した一部のiPhoneの販売差し止めを求めていました。これはIntelとAppleのサプライヤーであるQorvoのチップを組み合わせた端末が、無線信号の送受信中にバッテリー消費を節約する技術(エンベロープトラッキング)を採用しており、これがQualcommの保有する特許のひとつを侵害しているためだそうです。最終的に裁判官のマティアス・ジガン氏はAppleの特許侵害を認め、ドイツにおいてもiPhoneの一部販売差し止めを認める判決を下しました。Appleにとってこれは、中国に続き2つ目の販売差し止め命令となります。

Appleは上訴する予定であるとしながらも、販売差し止めの対象となる可能性のあるiPhone 7およびiPhone 8の2モデルを、今後ドイツに15店舗あるApple Storeでは販売しない予定であるとしています。ただし、iPhone XS/XS Max/XRといった最新機種は引き続きすべてのApple Storeで取り扱いされる模様。加えて、ドイツの通信事業者やサードパーティーの小売業者からは、引き続きiPhone 7およびiPhone 8の2モデルが販売される予定です。

販売差し止め命令がただちに効力を発揮するわけではないようですが、Qualcommはプレスリリースの中で「要求された証書を提示すれば差し止め命令はすぐに発効する」と述べており、このプロセスは「数日以内に完了する」と記しています。


Appleはドイツの裁判所が下した販売差し止め命令を受けて声明を出しており、「Qualcommによる販売差し止め運動は、Appleとの間に存在する問題を逸らすために行われているやけくその試みです。裁判所や日常業務を通して行われる彼らの戦略は、イノベーションを害して消費者を傷つけています。Qualcommは彼らが行っていない仕事に対して莫大な料金を請求しており、各国政府も彼らの行動については調査を行っています。我々はこの判決に失望していますが、引き続き魅力的な計画を立てています」と述べています。

Qorvoの知的財産弁護士であるマイク・ベイカー氏も、「我々はエンベロープトラッキングチップが特許を侵害していないと信じており、すべての証拠を考慮すれば違う結論に至っていたと確信しています。聴聞会に出席したチップの開発者は、Qualcommの主張をくつがえす証拠を提出する機会が与えられなかったことに失望しています。なお、今回の決定がAppleとのビジネスに何らかの影響を与えるとは考えていません」と述べました。

Intelの広報担当であるスティーブン・ロジャース氏も、「Qualcommの目標は知的財産権を擁護することではなく、プレミアムモデムチップの競争を停滞させ、消費者に害を及ぼす彼らのビジネスモデルを守ることだ」と、Intelの公式ブログ上でQualcommを痛烈に批判しています。


Qualcommは2017年7月にミュンヘンの地方裁判所でAppleの特許侵害を訴え、金銭的損害を求めるだけではなくドイツ国内におけるiPhoneの販売差し止めを求めました。

なお、ドイツや中国で起きている販売差し止めに関する訴訟はAppleとQualcommの間で起きている泥沼の法廷闘争の一部でしかありません。Appleは、Qualcommがスマートフォンでワイヤレスデータネットワークに接続するために用いられるモデムチップを独占するために反競争的なビジネルモデルを構築していると主張しており、同じ理由から、Qualcommは連邦取引委員会からも訴えられています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
iPhoneに中国で販売差止命令、AppleへのQualcommの特許侵害の訴えが認められる - GIGAZINE

iPhoneの中国販売差し止めをiOS更新で回避したAppleを「意図的な誤解釈」とQualcommが批判 - GIGAZINE

AppleとQualcommの泥仕合がさらに進展、今度はQualcommがiPhone 8/Xの輸入停止を求める訴訟を起こす - GIGAZINE

Apple Storeのスタッフには「使ってはいけない言葉」がある - GIGAZINE

in モバイル,   ハードウェア, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.