サイエンス

ピンポン球が当たった時の摩擦を電力にして球のデータを収集できる「スマート卓球台」が開発される

by djimenezhdez

近年では多くのスポーツにおいてデータを活用する動きが活発化しており、選手のプレイ傾向や動作の分析といったデータはチームや選手の強化に大きく役立っているほか、審判の判定にも役立てられています。そんな中、新たに「ピンポン球が当たった時の摩擦で動作してデータを収集するスマート卓球台」が開発されました。

Flexible and durable wood-based triboelectric nanogenerators for self-powered sensing in athletic big data analytics | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-019-13166-6

Researchers have created a self-powered, "smart" table tennis table | Inverse
https://www.inverse.com/article/61347-ping-pong-smart-table


スポーツにおけるリアルタイムのデータ収集は選手のパフォーマンス向上に役立ちますが、その多くは選手が身に付けたバッテリー内蔵のセンサーなどによって行われ、バッテリーの充電や定期的な交換が必要となり、コスト面だけでなく地球環境にも影響を与えます。そこで中国とアメリカの合同研究チームは、持続可能でメンテナンスフリーなセンサー技術の開発を試みたとのこと。

研究チームが採用したのは、接触した2つの物体が離れる際に電荷を生成する現象を利用した摩擦電気センサーを組み込み、データ収集や送信に必要な電気をまかなうという方法です。この発電システムは、洗ったセーターに接触した靴下を引き離す際、微弱な電力が発生する場合と基本的に同じ原理に基づいています。

そして研究チームは、化学処理して摩擦電気特性を向上させた木材表面の下に摩擦電気センサーを重ねて、「ピンポン球が卓球台に当たる時の摩擦を利用して発電し、台に接触した球のデータを収集・送信する」というスマート卓球台の開発に成功しました。このスマート卓球台はピンポン球が接触した際に発生する電力を用い、球のスピードや接触した位置データなどを収集・送信可能です。


実際にスマート卓球台を用いてピンポン球の接触データを収集・送信している様子は、以下のムービーで見ることができます。

41467 2019 13166 MOESM5 ESM - YouTube


画面左から登場したピンポン球が、卓球台の表面に敷かれたセンサーに当たります。


その後も次々にボールがセンターに接触。


卓球台の脇に置かれたディスプレイに、接触したボールの位置および接触時のスピードが記録されていきます。


何度も試行を繰り返すとデータの蓄積も増加していきました。今回のムービーでは、わかりやすくするためにセンサーを卓球台の上部に置いていたものの、実際には卓球台の内部に埋め込むことが可能だそうです。


今回開発されたセンサーは、これまでのスポーツデータ収集で広く使われてきた分散型のバッテリー駆動センサーとは違い、バッテリーなしで動作します。そのため、廃棄のためにかかる環境コストが少なく、より持続可能なデバイスになっているとのこと。

また、もちろん卓球のプレイデータを収集する方法としても有用であり、研究チームは「統計データを分析することにより、選手のデータを取得してトレーニング指導に生かし、よりよい競争戦略を開発することができます」と述べています。


さらに研究チームは、今回開発されたセンサーが審判にとっても有益なものであると主張。卓球において台上の端に触った「エッジボール(得点が認められる)」なのか、それとも台の横に触れた「サイドボール(得点が認められない)」なのかは、得点を左右する重大なポイントです。しかし、エッジボールとサイドボールの見極めは難しく、時には判定が選手にとって納得のいかないものであるケースもあります。

以下のムービーでは、今回開発されたセンサーにより、エッジボールとサイドボールの判断を行っている様子を見ることができます。

41467 2019 13166 MOESM8 ESM - YouTube


画面右端から飛んできたボールが……


台の端に接触。


すると、センサーから送られたデータにモニターが反応し、今回のボールは「エッジボール」と判定されました。


次のボールもきわどいところに当たりましたが……


判定は「サイドボール」となりました。センサーを卓球台に組み込むことで、肉眼では難しい判定を正確に行うことが可能です。


今回開発されたシステムが、卓球をプレイする人以外に役立つ可能性は少ないものの、研究チームは今回の研究が、ビッグデータ分析をスポーツなどの広範な分野に応用する「大きな機会」を提供するものだと主張します。また、木材を化学処理することで電気出力性能を向上させる仕組みは、木材ベースの電子機器にとっての新たな可能性を開くものだと研究者は述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
球の軌道や戦績、トレーニング内容などが盤面に表示される卓球トレーニング台「table tennis trainer」 - GIGAZINE

卓球台の売上げからテクノロジー業界の盛衰がわかる - GIGAZINE

人が打ちやすい球を1/1000秒単位で計測するオムロンの「ラリー継続卓球ロボット」はこんな感じ - GIGAZINE

スポーツのデータ分析にウェアラブル端末・Surface・高精度カメラを導入、次世代データ分析がスポーツ界で主流に - GIGAZINE

スポーツにおける「技術」と「運」が占める割合は?そしてなぜ人々はスポーツを楽しむのか - GIGAZINE

2019年のメジャーリーグの結果を数学で予測した「野球博士」が登場、各地区優勝はどのチームなのか? - GIGAZINE

メジャーリーグ11シーズン・400万球分の投球データを分析して審判がどれだけ正しくジャッジできているのかを分析した結果 - GIGAZINE

in ハードウェア,   サイエンス,   動画, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.