生き物

「金魚をトイレに流す代わりに」と金魚の避難所が水族館に作られている

by Sri Lanka

お祭りなどの景品として金魚を得たものの、その後に飼えなくなり飼い主がトイレに流すケースが続発しているという事態を受け、フランスのパリ水族館は「飼えなくなった金魚の避難所」を設置しています。巨大な水槽で泳ぐおよそ1000匹の金魚のうち600匹が一般家庭から引き取られた「第2の魚生」を生きる金魚とのことです。

The Paris Aquarium Is Giving Unwanted Goldfish a Second Chance | Travel | Smithsonian
https://www.smithsonianmag.com/travel/paris-aquarium-giving-unwanted-goldfish-second-chance-180970584/

映画「ファインディング・ニモ」では主人公のニモがトイレに流され海へと行きつく様子が描かれましたが、実際に金魚をトイレに流す人は数多く存在します。しかし、現実にはトイレの水は直接海へと流れ出るわけでなく、廃水処理場を通ります。このためトイレに流された金魚の多くは自然界に戻ることなく死んでしまいますが、まれに池へと流れ出て、生態系を壊してしまうことも。金魚の命を犠牲にしているという点でも、生態系への影響という意味でも、「トイレに金魚を流す」という行為は問題視されています。

by Jan Kolar / VUI Designer

日本ではお祭りをきっかけに金魚を飼うことが一般的ですが、フランス・パリでもカーニバルの景品として得た金魚を飼うことが多いそうです。しかし、金魚を得た親子の多くがその生態や飼い方について詳しくなく、野生であれば小さな金魚でも5年後には全長30cmにまで成長し、最大30年も生き続けることについて知りません。実際のところ、パリの一般家庭には、金魚を飼うために十分な大きさのフィルター付き水槽を持つ空間的余裕がないとのこと。小さな水槽の中では金魚は最大でも5cmまでほどにしか成長できません。

この問題を解決するため、パリ水族館は「金魚の避難所」を開設。4万リットルもの水が入った大きな水槽を、家庭で望まれなくなった金魚の第2の魚生のためにあてています。この水槽にはほぼ毎日、家庭からやってきた金魚が放流されており、1000匹の金魚のうち600匹が「救助」されたものだとのことです。


パリ水族館にある金魚の避難所は以下のムービーから確認できます。

Paris Aquarium offers sanctuary to 600 goldfish - YouTube


これがパリ水族館にある金魚の水槽。人間の大きさと比較してもかなりのサイズであることがわかります。


さまざまな色やサイズの金魚が泳いでいます。


かなり大きい金魚もいる様子。


来場者が金魚鉢を水槽に沈め、家庭で飼えなくなった金魚を放流しています。


パリ水族館のDa Forno氏によると、金魚の収集は今後も継続され、一般の人々への教育に役立てられる予定とのこと。「このプログラムの目標は、人々に選択肢を与え、家庭で金魚を飼うために必要なことを教育することです。人々の意識を高めたいと考えています」とForno氏は述べました。実際に金魚の展示は水族館のコンテンツの中でも人気があり、教育リソースとしても役立っているそうです。

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in 生き物,   動画, Posted by darkhorse_log

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