ザ・シンプソンズのギャグが16：9のアスペクト比により殺されている

サービス開始初日にさっそく1000万人以上の有料会員を獲得したことが明らかになっている「Disney＋」では、ディズニー作品だけでなくマーベル作品やスター・ウォーズシリーズなど多数のタイトルが見られます。中にはアメリカのアニメ番組としては最長寿の「ザ・シンプソンズ」も含まれているのですが、「ザ・シンプソンズはDisney＋で配信されたことでそのギャグが殺されている」と指摘されています。

The Simpsons’ aspect ratio is messed up on Disney+ - The Verge
https://www.theverge.com/2019/11/12/20961067/simpsons-aspect-ratio-disney-plus-43-169-streaming-fxx

Disney+ will fix The Simpsons’ joke-destroying 16:9 aspect ratio starting in 2020 - The Verge
https://www.theverge.com/2019/11/15/20967429/disney-plus-simpsons-feedback-older-episodes-original-aspect-ratio-2020

Disney＋ではザ・シンプソンズの過去30シーズン分が配信されています。ザ・シンプソンズは1989年からスタートしたアメリカアニメとしては最長寿番組であるため、古いエピソードは最近のTV番組とは異なりアスペクト比が「16：9」ではなく「4：3」となっています。

THE SIMPSONS Disney+ Official Trailer (2019) - YouTube


ディズニーが開始したストリーミングサービスのDisney＋の場合、ザ・シンプソンズの過去30シーズン分のすべてがアスペクト比16：9で配信されており、過去の4：3で作成されたエピソードは画面がトリミングされています。当然ですが、Disney＋には再生する映像のアスペクト比を変更するオプションは存在しません。そのため、ザ・シンプソンズの過去20シーズン分のエピソードは、アスペクト比の変更によりギャグが大量に失われているそうです。

具体的にどういうことかを、Tristan Cooper氏がTwitter上で以下のように説明しています。

「Disney＋で配信されているザ・シンプソンズの古いエピソードでは、以下の『ダフ』『ダフ・ライト』『ダフ・ドライ』がすべて同じチューブから供給されていることが16：9のワイドスクリーン形式にトリミングされることで見逃されることとなっています」

これがオリジナル版のアスペクト比4：3の映像。ダフ、ダフ・ライト、ダフ・ドライという3つが同じチューブから供給されていることがわかります。

しかし、Disney＋で配信されているアスペクト比16：9の映像ではチューブの先がトリミングで見えなくなっており、ジョークが成り立っていないことは明らかです。

なお、ザ・シンプソンズは過去にも同じような事態に遭遇しています。2015年にFOXのFX Networksでザ・シンプソンズの初期エピソードを配信したい際にも、アスペクト比を16：9に変更したためギャグが殺されているという指摘があり、FX Networksは最終的にアスペクト比を4：3で再生するオプションを追加しました。

ザ・シンプソンズのファンや批評家たちは、FX Networksの一件があったため、Disney＋では初めからアスペクト比を変更するオプションが追加されているものと考えられていました。しかし、実際にはそうではなかったため、ディズニーに対する苦情が多く寄せられる結果となっています。

Twitterユーザーの中には「FX NetworksアプリからDisney＋は退化してしまった」と、アスペクト比の変更オプションが存在しないことに対して苦情を述べるユーザーもいます。

これらの批判に対してディズニーは公式に声明を出しており、「過去30シーズン分のすべてのエピソードで視覚的な品質と一貫性を保証するために、サービススタート時にはアスペクト比を16：9の固定でザ・シンプソンズを提供しています。しかし、時間の経過と共にDisney＋は新しい機能と追加の表示オプションを展開していく予定です。その一環として、2020年初頭にはDisney＋でザ・シンプソンズの最初の19シーズン分およびシーズン20の一部のエピソードを、オリジナル版と同じアスペクト比4：3で見られるようにする予定です」として、アスペクト比の変更オプションを追加する予定であるとしています。