Googleが従業員に対して実践している「カオスエンジニアリング」とは?
By BrianAJackson
サービスやシステムに意図的にトラブルを発生させることで、実際にトラブルが発生した際に的確な対処ができるような訓練を行うことを「カオスエンジニアリング」といいます。Googleが従業員に対して行っている4つのカオスエンジニアリングについて、Googleのエンジニアリングディレクターであるデイブ・レンジン氏が語っています。
Chaos Engineering For People Systems w/ Dave Rensin of Google - YouTube
◆チームメンバーをランダムで不在にさせる
週に1度、各チームからランダムにピックアップされたメンバーを自宅勤務とします。選ばれたメンバーは自身の仕事を遂行することはできますが、他のメンバーからの質問には一切答えてはならないというルールで自宅勤務を行います。これを行うことで、突然誰かが欠勤しても円滑に業務を遂行する訓練になるとレンジン氏は述べています。また、メンバーが不在になったことで発生する業務の遅れなどから、誰かに仕事や情報が片寄りすぎていないかを浮き彫りにすることもできます。
自宅作業を行うメンバーは他のメンバーから離れて仕事ができるので、割り込みの業務が発生することなく集中して自分の仕事を行うことができるメリットがあります。
ランダムでメンバーを不在にする際は監督役となる人間を選んでおきます。緊急の事態が発生して、どうしても不在扱いのメンバーが必要になった場合などは、監督役が判断を行い、不在扱いのメンバーと連絡するかどうかを判断します。
By fotografiche
◆わざと返事を遅らせる
チームメンバーの20%をランダムに選択し、1週間の勤務時間中、メールを受信してから1時間以内に返信してはいけないというルールを設けます。メールの送信者が返信を待つ間の時間を有効に利用したり、問題解決のために代替案を考えたりする訓練になります。また、返事を遅らせたことにより発生した問題から、部門ごとの依存関係をあぶり出せるとレンジン氏は語っています。
返信を遅延させる際も監督役となる人間を選んでおき、緊急を要するメールなどの場合は監督役が確認を行い、ルールを無視してすぐに返信するかどうかを判断します。
By choreograph
◆嘘をつく
1か月ごとに1~2人をランダムでピックアップし、仕事に関する質問をされたとき、あえて間違った答えを返させます。ただ適当な嘘をつくのではなく、いかにも本当のような嘘をつかなければなりません。レンジン氏は嘘の情報を相手に伝えることで、正解と不正解の違いを見分ける能力を養う目的があると述べています。また、一人だけが話している内容をうのみにするのではなく、複数名に確認をとる習慣を身につけさせることができます。
監督役は一人につき一人ずつ選出します。緊急の要件や嘘の内容に問題がある場合など、嘘ではなく本当のことを伝えるべきかどうかは監督役が判断します。
By bialasiewicz
◆最悪の事態をシミュレートする
大規模なセキュリティ障害など、多くの部門に共通する大きな問題が発生したことを想定した業務を行います。セキュリティ障害がシミュレーションであることは、CEOや法務部など一部の人間にとどめておきます。実際に大きな問題が発生すると、パニックを起こして問題への対応が遅れてしまう可能性があるので、最悪の事態が発生した際、企業全体で冷静かつ倫理的に対応できるようにすべきだとレンジン氏は語っています。
By master1305
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