ハードウェア

Googleが1万年かかる計算問題を3分20秒で解き終える量子コンピューターを完成させる


Googleが、「世界最速のスーパーコンピューターでも1万年かかる計算問題を3分20秒で解くことができる量子コンピューター」を開発したと発表しました。

Google AI Blog: Quantum Supremacy Using a Programmable Superconducting Processor
https://ai.googleblog.com/2019/10/quantum-supremacy-using-programmable.html

Quantum supremacy using a programmable superconducting processor | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1666-5

量子コンピューターは、従来型のコンピューターが情報を処理する単位である「ビット」に代わって、「量子ビット」を使って情報を処理します。ビットは「0」か「1」のどちらかの値を取るもので、従来型のコンピューター内部では、全ての情報はビットの連続として処理されています。これに対して、量子ビットは「0」または「1」ではなく、「同時に『0』にも『1』にもなる」という量子力学的な重ね合わせを用います。量子ビットを使うと、同時に莫大な量の演算をこなすことが可能です。

量子ビットは以下の記事でわかりやすく解説されています。

専門家は知識も経験も違う人々に対し「量子コンピューター」をどのように説明するのか? - GIGAZINE


Googleは、この量子コンピューターを開発するために、まず53個の量子ビットを搭載した高速かつ安定性高い「Sycamore」という量子コンピューター用プロセッサを開発。各量子ビットは他の4つの量子ビットに連結されており、量子ビット同士で相互作用を起こしながら計算を行います。


この53個の量子ビットによって、2の53乗もの多次元的な計算が可能になるとのこと。Sycamoreは以下のような外観をしています。


従来型の量子コンピュータープロセッサはノイズによるエラーが多く実用性が疑問視されてきましたが、Sycamoreは隣接する量子ビット間の相互作用をオフにできる新型コントロールノブを用いることで問題を改善。量子ビットを複数接続した場合でもエラーを大幅に軽減したそうです。

Sycamoreを組み込んだ量子コンピューターでベンチマークを行ったところ、世界最速のスーパーコンピューターで1万年かかる計算問題を200秒(3分20秒)以内に解き終えたとのこと。

低温槽に搭載されたSycamoreにアーティストが演出を施したイラストが以下。


Googleは発表の中で、従来型のコンピューターでは実現不可能な計算能力を備えていることを示す「量子超越性」を2019年春頃には達成していたと記しています。Sycamore搭載量子コンピューターは、完全にプログラム可能かつ一般的な目的の量子アルゴリズムを実行可能だそうです。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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