Wikipediaの13万件もの参考文献を閲覧可能にするインターネットアーカイブの取り組み
by geralt
ウェブサイトや書籍、音楽、ゲームなどといったマルチメディア資料のアーカイブ閲覧サービスを提供する非営利団体のインターネットアーカイブは、Wikipediaの記事に出典として記載される参考文献13万件を、インターネットアーカイブが保管している書籍データ5万件分にリンクしたことを発表しました。
Weaving Books into the Web—Starting with Wikipedia | Internet Archive Blogs
https://blog.archive.org/2019/10/29/weaving-books-into-the-web-starting-with-wikipedia/
Internet Archive makes it easy to read books cited on Wikipedia
https://thenextweb.com/insider/2019/10/31/internet-archive-wikipedia-digital-books/
何か調べたい物事がある時、インターネットから無料でアクセスできるWikipediaは非常に便利なもの。しかし、Wikipediaは不特定多数の人々によって編集されるため、Wikipediaに書かれている内容が正確とは限りません。
Wikipediaでは、書かれている内容について出典を以下の画像のように記事の末尾に示すことが可能です。利用者は、出典にある参考文献や引用元となるウェブサイトを確認することができますが、書籍が既に絶版になっていたりウェブサイトが既に消滅してしまっていたりすると閲覧が不可能となります。そのため、利用者がWikipediaの信頼性を確認することも難しくなっているという問題がありました。
インターネットアーカイブは電子書籍のデジタルライブラリサービスを提供しています。このデジタルライブラリには利用者によって提供された本のスキャンデータが保管されており、Wikipediaのページから書籍の情報源を見つけた人は誰でもそのコンテンツのプレビューを閲覧することができます。
例えば、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの英語版Wikipediaの記事では、アダム・フェアクロウの「To Redeem the Soul of America」という本の299ページ目が出典となっています。出典にあるリンクをクリックすると……
インターネットアーカイブのデジタルライブラリに保存されているTo Redeem the Soul of Americaの299ページがプレビューとして表示されました。ただし、表示されるのはあくまでも該当ページを含んだ2~3ページのみで、本の内容をすべて読むためには有料の貸し出し手続きを行う必要があるとのこと。
また、出典に記載されていながらリンク切れで接続できないウェブサイトについては、インターネットアーカイブは以前からリンクの差し替えを行うことで検証可能性を保つ取り組みを行っています。
Wikipediaの客観性は数百万ものリンク切れURLを修復するインターネット・アーカイブによって確保されている - GIGAZINE
インターネットアーカイブとWikipediaの連携について、インターネットアーカイブのデジタルライブラリで司書を務めるBrewster Kahle氏は「何世紀にもわたって本に書かれてきた内容は、デジタル学習を行う世代に情報を提供するために重要なものです。私たちは、書籍をウェブそのものの構造に織り込んで読者と本を結びつけるという取り組みを、Wikpediaとの連携からスタートしたいと考えています」と述べました。
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