全ての情報へアクセス可能な「知の世界」を目指すインターネットアーカイブのドキュメンタリームービー
過去のウェブサイトを可能な限り保存する「Wayback Machine」をはじめ、世界中の本やテレビ番組や音楽などをデジタルデータとして保管している「Internet Archive」。そのInternet Archiveのドキュメンタリームービーが公開されています。
Internet Archive on Vimeo
Internet Archiveの代表であり「司書」である、ブリュースター・ケールさん。
まずはWayback Machineについて語り始めます。Wayback Machineは、コンピューターにより自動で世界中のウェブページを2週間ごとに収集。
ウェブサイトを昔の状態のまま保存してあり誰でも閲覧が可能なWayback Machineは、今では1日当たり50万人が利用しているそうです。
こちらは3年前に建てられたInternet Archive社屋。
キリスト教の教会をイメージ。
フラットなフロアに、ライブラリ(サーバー)を置きたかったのだとか。
こちらがサーバー。
サーバーのハードディスク容量が10ペタバイトに達したときにはパーティーをしたんだとご満悦なケールさん。
サーバーに関して、容量の確保やフォーマットの変更は問題ですが「それほどの重大事ではない」そうです。
真に大切なのはデータのコピー(ミラー)を用意すること。不都合な記録が抹消されるのは歴史の示すところ。「データが恣意的に破棄された場合でも、ミラーを別の場所に作ることで、記録を何世紀にもわたって次世代に残せるのです」とケールさんは語ります。
サーバールームを説明するケールさん。熱対策のため換気には注意しており、暑い日には窓やドアをあけているそう。
こちらの巨大な倉庫は……
世界中から集められ保管された本のための書庫。
次の世代の人たちが閲覧できるように、全ての本がデジタルスキャンされます。
専用のスキャナーで黙々とスキャンしていきます。
書庫の責任者ロバート・ミラーさん。現在、300万冊の本を保管しており、気温や湿度は厳重に管理しているそうです。
本は、グレーのボックスにおよそ4000冊単位で保管。
当面の目標は1000万冊を収集・保管すること。1000万冊という数字は、プリンストン大学やエール大学やボストン公立図書館の蔵庫数と同じです。
おもむろに扉を開けたボックスの中には古いイギリスの書物が保管されていました。
「目標は、あらゆる時代のあらゆる本を誰もが世界中のどの場所でも閲覧できるようにすること。ケニアの貧しい少年がいつでもアクセスできるように」とケールさんは語ります。
こちらはアレクシス・ロッシ司書。あらゆる情報にアクセスできることは、私たちの試みによって実現可能だといいます。
あらゆる本をスキャンしデジタル化。
毎日24時間世界中のテレビ番組200チャンネルを録画。
報道も全てカバー。
レコードから音楽を、DVDからムービーを抜き出して保存するノウハウもあり。
「今や十分な資金を得た我々は、情報の収集、保管を正しく行うことができます」とロッシさんは言います。
クラウドは企業が運営するもので信用はできません。それは、Yahoo!やGoogleのムービーが、いつの間にか誰かによって削除されてしまうことからも明らか。
もしデータが削除されるなどしてなくなってしまったら、その世代にとって存在しないも同然。このことをムービーでは「デジタル世代は忘れやすい」と表現しています。
「アクセス可能にすること、つまり『Mine Share(持っているものの共有)』こそが、情報を次世代に残せる最良の保存方法。だから私たちがすることはいつもオープンソースなのです」とケールさん。
10ペタバイトのライブラリも通過点にすぎません。
「問題はどこに行き着くか。世界中から全ての知識にアクセスできるようライブラリを作ること。それはまさに今している試みであり、大いなる実験なのです」
あらゆる知識、情報にいつでもどこでも誰でもアクセスできる「知の世界」。Internet Archiveが目指す世界はとてつもなく壮大ですが、必ずや実現して欲しい世界でもあります。
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