Googleが安価なロボット用のAIの能力を測定するベンチマークロボットを発表
ロボットに搭載されるAIシステムの能力は、ベンチマーク用ロボットで測定されますが、既存のベンチマーク用ロボットは「高性能で人間の監視のもと動作する産業用ロボット」のために設計されているものがほとんどでした。そこで、Googleの人工知能研究施設であるGoogle Brainは新たに、学習ベースの安価なロボットに搭載されるAIシステムのためのベンチマーク用ロボットを開発しました。強化学習の分野の発展を加速されるため、Googleは「ROBEL」と呼ばれるベンチマーク用ロボットをオープンソースソフトウェアで公開しています。
[1909.11639] ROBEL: Robotics Benchmarks for Learning with Low-Cost Robots
https://arxiv.org/abs/1909.11639
Google AI Blog: ROBEL: Robotics Benchmarks for Learning with Low-Cost Robots
https://ai.googleblog.com/2019/10/robel-robotics-benchmarks-for-learning.html
2019年時点でAIシステムのパフォーマンスを測定するベンチマークテストの多くは、高コスト・工業品質のロボットに限定されているのが実情です。このようなロボットは制御された環境下で人間によるモニタリングのもと、精密さ・再現度・使い勝手といった点を評価されますが、一方で「現実世界で学習していくための回復力」「安価でメンテナンスが容易なこと」「人間の監視を減らすための信頼できるリセットメカニズム」といった点を評価される学習ベースのロボットも、近年は多く開発されています。
そこで、Googleの人工知能研究施設であるGoogle Brainは新たに、学習ベースの安価なロボットに搭載されるAIシステムのために「ROBEL」と呼ばれるベンチマーク用ロボットを開発しました。強化学習の分野の発展を加速させるため、GoogleはROBELをオープンソースで公開しています。
ROBEL
https://sites.google.com/view/roboticsbenchmarks/
ROBELにはTrossen Roboticsによって作られた3本アームのD'Clawと4本アームのD'Kittyという2つがあり、それぞれ価格は3200ドル(約34万円)と3700ドル(約40万円)。D’Clawは9自由度(9DoF)、D’Kittyは12自由度(12DoF)とのことです。研究者によると、安価でモジュール式のROBELは、ハードウェア上での強化学習をゼロから行う上で役立つとのこと。
ROBELのベンチマークは、D’Clawでは「ネジ回し」のようなタスクを……
D’Kittyでは「立って歩く」といったタスクを測定するもの。工場においてバルブを締めるといったタスクをロボットが行うことも多く、また足場の悪いところで使うロボットは四足歩行のレベルが問われます。
たとえば産業用ロボットであるバクスターやソーヤーはラボの環境下で高く評価されていますが、価格は1万5000ドル(約160万円)と高額です。しかし、FRANKA EMIKAという1万ドル(約100万円)程度のロボットが登場したこともあり、バクスターやソーヤーの開発元であるリシンク・ロボティクスは2018年末にHahn Groupに買収されるに至っています。ここ数カ月は特に、ロボット工学者にとってコストを下げ手ごろな値段を実現することが大きな課題となっており、カリフォルニア大学バークレー校の研究者は2019年4月に2つのアームを持つ5000ドル(約54万円)未満のロボットを発表し、大きな注目を浴びました。
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