地球規模で繰り広げられている「アリの大戦争」とは?
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アリは人間にとって身近な昆虫のひとつだといえますが、何十億匹のアリが地球上で繰り広げている「大戦争」が今なお続いていることはあまり知られていません。アリが繰り広げている戦争について、科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtがアニメーションムービーで解説しています。
The Billion Ant Mega Colony and the Biggest War on Earth - YouTube
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地球上のほとんど全ての場所で、アリ同士は争いあっています。アリたちが戦いに用いるのは、生来持って生まれた自身の能力のみ。強力な外皮を持つアリもいれば……
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毒針を持つアリや、鋭い下あごを持つアリもいます。
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さまざまな能力を持つアリがいる一方で、アルゼンチンアリは体長も小さく、特徴的なアリではありません。しかし、アルゼンチンアリは、大陸にまたがるほど広大な巣を持ち、何百万匹もの犠牲者を出す戦争を引き起こすという、他に例を見ないほどの巨大な帝国を築き上げる種です。
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アルゼンチンアリの戦争が最も熾烈だった地域はブラジルのパラナ州に位置する氾濫原の1つ。
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パラナ州の氾濫原は、世界の侵略的外来種ワースト100にも選出された特定外来生物のヒアリや、グンタイアリ、アルゼンチンアリを含む何十種ものアリが覇を争う「アリの紛争地帯」
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アルゼンチンアリの体長は約2mmから3mm。頭部の下あごは小さめの種です。
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ライバルとの大きさの違いを示した図がコレで、左がアルゼンチンアリ、中央がヒアリ、右がグンタイアリ。
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アルゼンチンアリの巣は小さいものから大きなものまで多種多様で、切り株の下や落ち葉の中に位置する場合や、他の種のアリが使っていた巣を使用するケースもあります。
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アルゼンチンアリの最大の武器は「数」。アルゼンチンアリの女王アリは、働きアリを120匹産むごとに新たな女王アリを1匹産みます。1日に産む卵の数は60個なので、アルゼンチンアリは倍々ゲームのような勢いで増えていきます。
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アルゼンチンアリは数が増えると、女王アリが働きアリグループを連れて独立し、新たな巣を作ります。
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ところが、新たな巣のアルゼンチンアリは、新たな環境に適応するために世代を重ねるごとにDNAに変異が生じます。すると、元の巣のアルゼンチンアリのことを「別の一族」と認識するようになり、お互いに戦い合うようになります。
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19世紀末、それまでパラナ州で他種や他の巣のアリと争っていたアルゼンチンアリが、船荷に紛れて、アメリカ南部・ルイジアナ州ニューオーリンズと、ポルトガルのマデイラ諸島に運ばれるという「事件」が起きます。
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ニューオリンズやマデイラ諸島はアルゼンチンアリの天敵のほとんどいない環境でした。
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単に天敵不在の地に降り立ったというだけではなく、新天地に移住したアルゼンチンアリはごくわずかな数だったので、遺伝的多様性が低下しました。
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これにより、アルゼンチンアリは他の巣に移っても別の一族にはならず、同じ一族のままだと認識されるようになって、別の巣で産まれたもの同士でも自由に行き来する「スーパーコロニー」を形成するようになります。スーパーコロニーを形成するのは、1万6000種ほどいるアリの中でもわずかだとのこと。
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アメリカ西海岸で誕生したスーパーコロニーは、六大州の沿岸部を中心に、世界レベルで爆発的に拡大。現在ではアメリカ西海岸、ヨーロッパ、日本、ニュージーランド、オーストラリアを含む、海を越えた広大な地域にわたって、アルゼンチンアリの「メガコロニー」が存在しています。
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単純な頭数で比較すると、アルゼンチンアリのメガコロニーは人類社会を上回るもので、それゆえに、各地の生態系に大きな影響を与えています。
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その一例がカリフォルニア州で、州固有の種だったものを含めて、在来のアリの90%がアルゼンチンアリに駆逐されてしまいました。
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アルゼンチンアリが捕食し尽くした結果、アルゼンチンアリのテリトリーの中に生息できなくなったクモやハエの種もいます。
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アルゼンチンアリは人間のテリトリーにも侵入。ゴミ箱の中の残飯や、ペットフード、キッチンに置かれた食べ残しまで餌にしています。
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一方で、攻撃的なアルゼンチンアリであっても、アリと共生するアブラムシに限っては手を出しません。アブラムシは農作物を食べる害虫なので、これは人間にとっては困りもの。
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さらに悪いことに、アブラムシを食べる益虫がアルゼンチンアリによって駆逐されてしまうため、農作物は深刻なダメージを負ってしまいます。
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もはや拡大は止められないのかと思いきや、近年はアルゼンチンアリのスーパーコロニー同士の戦争が確認されています。カリフォルニア州のホッジズ湖近郊で生じた戦争は、前線が数キロメーターにも渡るもの。この戦争の1年あたりの犠牲者は約3000万匹と推定されており、1秒当たり1匹のアルゼンチンアリが死んでいるという計算です。
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さらに、この戦いに、ブラジルからアラバマ州に運ばれてきたヒアリも加わります。ヒアリもまた、スーパーコロニーを形成する種です。
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かつてはパラナ州で争っていたアリ同士が、今度はアラバマで争い始めたというわけです。
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ヒアリはアルゼンチンアリの2倍以上の体長を有しているのに加えて、尾にはアルカロイド系の毒を打ち込む針を持っています。
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ヒアリはアメリカ東部で版図を広げていたアルゼンチンアリを絶滅状態に追い込みます。
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しかし、アメリカ東部を失ったとはいえ、「アルゼンチンアリの領土」はまだまだ世界各地に残されており、これからもアリ同士の戦争は続いていきそうです。
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