生き物

オオスズメバチを駆除するためにアメリカの農務省は「小型発信器」を取り付けて巣を見つけ出している


東アジアや日本に広く生息しているオオスズメバチは近年海を越えて北米大陸に生息範囲を拡大しており、現地では「殺人バチ」の名称で恐れられています。そんなオオスズメバチを駆除するために、アメリカの農務省は「小型発信器」をオオスズメバチの体に取り付けるという試みを行っています。

USDA’s Cutting-Edge Methods Help Deliver a Victory Against Asian Giant Hornet | USDA
https://www.usda.gov/media/blog/2020/10/29/usdas-cutting-edge-methods-help-deliver-victory-against-asian-giant-hornet

Here's The Genius Trick USDA Is Using to Infiltrate Nests of Giant 'Murder' Hornets
https://www.sciencealert.com/how-the-usda-is-fighting-the-invasion-of-giant-murder-hornets-with-tiny-radio-tags

「Vespa mandarinia(オオスズメバチ)」は日本全国および、インドから東南アジア、ロシアまで広く分布する世界最大のスズメバチです。そんなオオスズメバチは北米には生息していないとされてきましたが、2019年12月にアメリカ国内初となる目撃例がワシントン州で報告され、さらに2020年5月にはワシントン州における生息が確認されました。オオスズメバチはミツバチの生存を脅かすというだけでなく、ときには人の命まで奪うこともあるという事例から、アメリカ国内で大きな注目を集めました。

'Murder Hornets,' with sting that can kill, land in US
https://apnews.com/article/c4acc013a2d9d26ac08e03723c69b603


ワシントン州農業局(WSDA)もオオスズメバチの駆除に乗り出しており、2020年10月時点では掃除機を使う駆除法を採用していました。

アメリカで「殺人バチ」と恐れられるオオスズメバチの巣を初めて駆除することに成功 - GIGAZINE


しかし、こうした駆除には「巣の場所がわからない」という課題があります。オオスズメバチは森林の奥深くや空洞となった倒木の内部、さらには地下の空洞にまで営巣するという性質を持つため、「オオスズメバチが目撃された付近に巣があるはずだが、場所がわからない」という事態が続きました。

こうして巣の位置特定に悩まされていたWSDAの昆虫学者は、新たに「生きているオオスズメバチに小型発信器を取り付けて巣を見つけ出す」という手法を考案。アメリカ農務省と提携して、ビワハゴロモなどの研究において成果を上げている小型発信器をオオスズメバチに取り付けました。


オオスズメバチを逃してしまったり、接着剤が乾かずに小型発信器が外れてしまったりといった失敗を幾度も重ねつつも、WSDAのチームは発信器を使って枯れ木の幹に開いた隙間に巣があることを特定。掃除機で85匹を吸い取り、さらにネットで13匹を捕獲した上で、巣を除去することに成功。巣の中に生存していた女王蜂2匹や多数の働きバチを処分しました。

今回の一件では勝利を収めたWSDAのチームは、オオスズメバチを駆除するための戦いが今後数年間にわたって続く可能性があるとコメント。アメリカにおいてオオスズメバチが生息範囲を拡大していくと予測しています。

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in 生き物, Posted by darkhorse_log

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