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規制が求められるYouTubeには「プラットフォームとしての開放性が重要だ」とCEOが主張

by TymonOziemblewski

YouTubeにはさまざまなコンテンツが日々大量に投稿されており、有害なコンテンツを排除するためにプラットフォーム上での禁止事項をまとめたコミュニティガイドラインが設定され、コンテンツの管理を行っています。プラットフォーム上にあふれる大量のコンテンツをどのように規制するのかについては多くの議論がありますが、YouTubeのCEOであるスーザン・ウォシッキー氏がYouTubeのブログ上で、「YouTubeは責任を持ってプラットフォームの開放性を維持していく」と主張しました。

YouTube Creator Blog: Susan Wojcicki: Preserving openness through responsibility
https://youtube-creators.googleblog.com/2019/08/preserving-openness-through-responsibility.html

YouTubeはコミュニティガイドラインによってコンテンツの規制を行っていますが、同時にプラットフォームにおける多様性や開放性を維持し続けるため、厳しい選択を迫られています。たとえば2019年5月、ニュースメディアVoxのジャーナリストであるCarlos Mazaさんが、YouTubeで活動する右翼系のコメンテーター&コメディアンであるSteven Crowderさんに「攻撃されている」と主張しました。

YouTubeはCrowderさんの発言について、「人を傷つけるものではあるが、ポリシー違反ではない」という見解を示しました。当該発言は広範な議論の中で示された意見であり、個人的な嫌がらせやハラスメントには該当しないという判断だったとのこと。しかし、このYouTubeの判断に対しては世界中から多くの非難が寄せられる結果となり、最終的にウォシッキーCEOはこの一件について謝罪しています。

YouTubeのCEOが謝罪、有害でもポリシー違反とならないコンテンツが存在することについて - GIGAZINE


そんな中、ウォシッキーCEOはYouTubeのブログ上で、YouTubeというプラットフォームにおいて開放性を維持することの重要性について主張しました。ウォシッキーCEOはプラットフォームの開放性については多くの課題があり、この課題を解消するためにYouTubeでは継続的にコミュニティガイドラインの改定を行っていると述べています。

YouTubeは多様な人々の声を受け入れる開放性のあるプラットフォームとして運営されており、「あなたが多くの異なる声を受け入れる場所を作り出した場合、何人かはボーダーラインを超えてしまうでしょう」とウォシッキーCEOは指摘。悪意のある人物は、運営者がどれほどシステムに投資してプラットフォームの悪用を防ごうとしても、さまざまな隙を見つけて悪用を試みるとのこと。そして、プラットフォーム上の悪意ある振る舞いが明らかになれば、政策立案者やマスコミ、評論家が声をそろえて「オープンなプラットフォーム」の価値や実効性を疑問視してくるとのこと。

しかし、これらの懸念にもかかわらず、ウォシッキーCEOはプラットフォームの開放性を維持することが重要だと主張します。ウォシッキーCEOは、開放性の維持が「人々の機会創出」「コミュニティの育成」「人々の学習」などに役立つと考えています。

by Pixabay

YouTube上で活躍する多くのクリエイターたちは、閉鎖的なメディア環境では受け入れられなかっただろうとウォシッキーCEOは考えており、YouTubeが人々の機会を創出していると主張します。ライアソン大学(PDFファイル)レポートによると、カナダだけで2万8000人がフルタイムの仕事としてYouTuberをしているそうで、さらに20%のクリエイターは自身だけでなく、他人の雇用を創出しているとのこと。さらに、世界中で見るとYouTubeでの収益が10万ドル(約1060万円)を超えたクリエイターの数は、前年比で40%の割合で増加し続けているそうです。

また、オープンなプラットフォームを維持することにより、日常生活では結び付くことの難しい人々と、YouTube上でつながることを可能にしているとウォシッキーCEOは述べています。たとえばニュージーランドに住むRyleigh Hawkins氏は、「Tourettes Teen」というチャンネルを運営し、トゥレット症候群についての認識を広め、世界中のトゥレット症候群に悩む人々が孤独ではないことを知らしめたとのこと。

そしてYouTubeのコンテンツはさまざまな学習機会を提供してくれるものでもあり、「Origin Of Everything」「ExcelIsFun」といった教育・学習チャンネルにより、YouTubeは世界最大の教室となっていると主張しました。ウォシッキーCEOは多くの人々にYouTubeについて尋ねるたび、その人がYouTubeでどのようなことを学んだのかについて聞いていると述べています。

by finelightarts

こうしたYouTubeがもたらす多くのメリットは、プラットフォームの開放性なしでは起こらないとウォシッキーCEOは指摘。多様な声を拾い上げて世界中に発信するためには、開放性へのコミットメントが必要不可欠です。しかし、開放性を維持することによって、メインストリームを外れた物議を醸す、人によっては不快感を覚えるコンテンツが残ることもあるとのこと。

それでも、ウォシッキーCEOは多くの異なる意見を発信できるプラットフォームこそが重要だと考えています。もちろんプラットフォームの健全性を維持するため、問題のあるコンテンツの削除には力を入れており、全体の1%にも満たない問題のあるコンテンツを排除するべく絶えず取り組んでいるそうです。「問題のあるコンテンツであってもYouTubeの利益になるから、YouTubeはあえて削除しないのだ」という説をウォシッキーCEO自身も聞いたことがあるそうですが、長期にわたって適切な対策を取らないことはYouTubeの信頼を失わせるため、YouTube自身にとってもメリットがないと述べています。

by Fortune Live Media

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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