「AlphaGo」を生んだAI企業DeepMindが急性腎障害を発症48時間前に予測できるAIを開発
by SanDiego PersonalInjuryAttorney
Googleの兄弟企業であるDeepMindは、「AlphaGo」「AlphaStar」「DQN」など、人間を超えるレベルで囲碁やPCゲームをプレイできる人工知能(AI)を開発していることで知られています。そんなDeepMindが、急性腎障害を発症する最大48時間前にその兆候を発見するシステムを開発したと発表しました。
A clinically applicable approach to continuous prediction of future acute kidney injury | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1390-1
Using AI to give doctors a 48-hour head start on life-threatening illness | DeepMind
https://deepmind.com/blog/predicting-patient-deterioration/
Google's DeepMind says its AI sees acute kidney disease 48 hours early
https://www.cnbc.com/2019/07/31/googles-deepmind-says-its-ai-sees-acute-kidney-disease-48-hours-early.html
ピッツバーグ大学医学部の研究者によると、毎年およそ200万人が急性腎障害で亡くなっていますが、急性腎障害は即時的で明確な症状があるわけではないため、医師による診断が難しい場合もあるとのこと。急性腎障害を早期発見することで命の危険に脅かされるリスクが減るという研究結果も発表されました。
by Hey Paul Studios
DeepMindの研究チームは、アメリカの退役軍人省の協力のもと、100以上ある退役軍人省管轄の病院から提供された電子カルテをAIにデータセットとして入力。何十万もの患者に関する治療情報をAIに学習させたそうです。なお、名前や社会保障番号などの個人情報はデータセットから削除されたとのこと。
この結果、学習を行ったAIは人工透析を必要とすることになる急性腎障害を、10人中9人の割合で予測できたと研究チームは述べています。急性腎障害を発症する最大48時間前に兆候を発見できることで、患者の状態が悪化する前に適切な治療を行うことが期待できます。
ただし、AIが行うのはあくまでも発症の予測であり、治療はこれまで通りに実際の医者が担当します。DeepMindのヘルス部門の研究者であるドミニク・キング氏は公式ブログの中で「AIによる予測が可能でも、専門家に警告する適切なツールがなくては実際の患者を助けることはできません。臨床医は日常的にポケットベルや書類、ファックスを使って情報のやりとりを行いますが、重要な情報を適切なタイミングで適切な専門家に提供するには、より優れたテクノロジーが必要不可欠です」と述べ、AIの予測などの情報が専門医へ的確かつ迅速に伝達される仕組みについても研究を行っていることを明らかにしました。
なお、CNBCの報道によると、DeepMindのヘルス部門は近いうちにデヴィッド・ファインバーグ氏率いるGoogleのヘルス部門へ組み込まれる予定で、ロンドンにあるDeepMind本社からカリフォルニアにあるGoogle本社にオフィスが移るそうです。
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