SF文学の最高峰に選ばれたダークな社会派アメコミのドラマ版「ウォッチメン」最新予告編公開
優れたSF作品に贈られるヒューゴー賞を1988年に受賞した、1980年代が舞台のスーパーヒーロードラマ「ウォッチメン」はアメコミの最高傑作とも呼ばれる作品。2019年秋から公開予定のドラマシリーズ「ウォッチメン」は原作と異なり現代を舞台とした作品となっており、謎が謎を呼ぶ不穏な空気が話題ですが、最新予告編でそのストーリーが徐々に明らかになっています。
Watchmen | Official Comic-Con Trailer | HBO - YouTube
鳴り響く銃声。
スーパーマーケットに訪れた強盗に、人々は床へ伏せていきます。
……が、そのとき、窓を突き破って赤いマントの人物が登場。
スーパーマーケットの店主は震えながらに「あなたは誰……?」と問いかけます。
「私が誰かだって?」
「その答えを知っていたら、私はマスクなどかぶっていないだろう」
テレビ越しにその映像を見ている人物もまた、マスクをかぶっていました。
「この世界は公平性と善でできていると、あなたのお友だちは信じているでしょう」と語りかける女性の声が響きます。
「エイドリアン・ヴェイトが死んだ」という新聞の見出し。原作で覆面を被ったヒーローとして活躍したオジマンディアスが死んだ後の世界観のようです。
「でもそれは、カラフルに塗られた子ども向けの絵本世界観」
「実際には、本当の世界の背後には、別の『色』が存在する」と言い聞かせるのはアンジェラという女性。
「その色が……」
「白と黒」
画面の中で並ぶ覆面の人物たちは「あなたたちはすぐに私たちを救うだろう」と語りかけます。
その映像を見ている警察官も覆面。
「そして私たちは『タック』とささやくだろう」と謎の発言です。
「我々は彼らを駆逐したと思っていた。だが彼らは冬眠していただけなのだ」
「彼らは全ての警察の元にやってくる」……と語るのは、冒頭の新聞で「死んだ」という見出しが出ていたはずの、元ウォッチメン「オジマンディアス」
銃を抱えた集団。
向かう先は……?
チック、タック、と不吉に時計が刻まれます。
覆面の集団に襲われ、警官が殺された様子。
覆面の警察官によって葬儀が行われます。
覆面といえば犯罪者のトレードマークですが、いまや警察までもが覆面になった時代。誰が警察で誰が犯罪者なのかがわからない状態です。
「覆面の人物は危険だよ。彼らは何かを隠しているから」
シェルターのような場所から出てくるマスクの人々。
倉庫では……
何人もの人物が捉えられています。
「FBIのローリー・ブレイクです」と手を差し伸べる女性。
「覆面の警察と自警団と見分けることができる?」と問われて首を振るアンジェラ。
それに対して「私もよ」とブレイク。
「この世には無数の陰謀が隠されている」と語る男性。
「それを知ったらあなたの頭は吹っ飛んでしまうだろうね」
メタリックなマスクをかぶった人々に……
ドクロのマーク
原子力
無数の死体で埋め尽くされるサーカス
「あなたは誰」と問われた男性は「Dr.マンハッタンだ」と答えます。トレーラー暮らしを行う男性は、1980年代を舞台にした原作において、実験室のアクシデントによって超人的な力を手に入れたDr.マンハッタンとのことですが……
「Dr.マンハッタンは火星に住んでいるはず」と女性は返します。
それには応えず「あなたは呪いすぎている」とDr.マンハッタン。
ニュースではDr.マンハッタンが火星に到着した映像が流され……
何者かが森林を爆破。
暴動
描かれる謎の絵画。
宇宙船内部。
墜落する航空機。
仕掛けられた爆破。
「何も終わらない」
「ただ始まるだけだ」という言葉でムービーは締めくくられました。
なお、2009年に公開された映画版「ウォッチメン」のあらすじや評価は以下から読むことが可能。
超映画批評『ウォッチメン』98点(100点満点中)
https://movie.maeda-y.com/movie/01262.htm
やや難解だが、おそるべき大傑作
『ウォッチメン』と『ダークナイト』は、まるでライバルのような関係だ。原作のグラフィックノベルは同時代に発行され、実写映画もまたしかり。そしてその出来栄えも両者まったく譲らず、である。
いわゆるアメコミ(アメリカンコミックス)の中には、上記二つのように完全に大人向けの、ほとんど文学と呼ぶべきものがある。よく、単純明快な勧善懲悪アクションもの、ノーテンキなエンタテイメントをアメコミ映画に求める人が(とくにアメコミに詳しくない日本人には)いるが、これは完全に誤りである。
それでも『ダークナイト』ならば、優れたアクションシークエンスが多々あるため、それなりに満足できるだろう。だが、より難解で地味な『ウォッチメン』では厳しいはずだ。
だから最初にはっきり書いておくが、ある程度の政治・歴史的教養のない人や子供たちに、これらの「グラフィックノベル映画」、とくに『ウォッチメン』はまったく向かない。163分間の長い上映時間内は、脳みそをフル回転させ、これが比ゆする現実世界に思いをはせていただきたい。
1985年、ニューヨークで一人の男が死んだ。その正体を知る元仲間のロールシャッハ(ジャッキー・アール・ヘイリー)は、単独で調査を開始する。男の正体は長くヒーローとして活躍してきたコメディアンことエドワード・ブレイク(ジェフリー・ディーン・モーガン)。ロールシャッハは、ヒーローチームのメンバーが、次々と変死をとげている事実を重大な脅威と感じていたのだ。
あらすじを紹介したものの、それよりも世界観の解説を行ったほうがいいだろう。
結論からいうと、『ウォッチメン』とは「現実世界にヒーローをぶちこんだらどうなるか」を描いた物語である。
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