毎月300億円以上がだまし取られている詐欺メールの実態とは?
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ビジネスの現場では電子メールが広く用いられていますが、詐欺師たちもビジネスで交わされる電子メールに目をつけており、ビジネスメールを装った詐欺メールによる被害件数や被害額は急激に増加しています。金融犯罪捜査網(FinCEN)の調査によると、2018年にはアメリカだけでも毎月3億100万ドル(約325億円)もの金額が、詐欺メールによりだまし取られているそうです。
Financial Crimes Enforcement Network (FinCEN), Financial Trend Analysis - FinCEN_Financial_Trend_Analysis_FINAL_508.pdf
(PDFファイル)https://www.fincen.gov/sites/default/files/shared/FinCEN_Financial_Trend_Analysis_FINAL_508.pdf
Email scammers extract over $300m a month from American suits' pockets • The Register
https://www.theregister.co.uk/2019/07/17/email_scammers_earn_more_than_300m_per_month_by_targeting_us_businesses/
FinCENによると、ビジネスメール詐欺の被害件数は急激に増加しており、2016年は1月あたり500件ほどだった被害件数が、2018年には1100件にまで増加。被害額も2016年の1月あたり1億1000万ドル(約120億円)から、2018年には3億100万ドルにまで増加しています。
ビジネスメール詐欺のターゲットとして最も狙われているのは製造業および建設業となっており、2017年には被害を受けた企業のうち20%、2018年には25%を占めているとのこと。また、2017年から2018年にかけてショッピングセンターやエンターテインメント施設、宿泊施設といった商業サービス施設を狙ったビジネスメール詐欺も急激に増えており、2017年には6%だった割合が2018年には18%になっているそうです。
FinCENは詐欺の手口が急激に変化していることも報告しており、「企業のCEOや幹部といった個人を装った詐欺メール」の割合は2017年に発生した被害件数の33%を占めていたのに対し、2018年にはなんと12%にまで下落。一方で「外部の組織を装った詐欺メール」は2017年にはほとんど確認されていませんでしたが、2018年にはなんと全体の20%を占めるまでになっています。2017年から継続して詐欺の手口として多いのが、「何らかの手段で入手したベンダーやクライアントの請求書を使った詐欺メール」であり、2017年には全体の30%、2018年には39%を占めています。
by Pavel Kunitsky
これまでにFinCENは法執行機関と協力し、ビジネスメール詐欺による被害を金額にして5億ドル(約540億円)も阻止しており、2017年以降だけで阻止した被害額は2億ドル(約216億円)にのぼるとのこと。
また、FinCENはビジネスメール詐欺に関する最新のアドバイザリーをFBIやアメリカ合衆国シークレットサービスと協力して作成し、金融機関がビジネスメール詐欺の被害を食い止めるために活用しているとしています。このアドバイザリーによると、金融機関同士でビジネスメール詐欺に関わる可能性の高いアカウントについて情報を共有することで、ビジネスメール詐欺を食い止めることができるとのことです。
FinCENの局長であるkenneth blanco氏は、「FinCENはビジネスメール詐欺に対抗する世界的リーダーであり、革新者でもあります」と述べ、今後もアメリカの安全性を高めるために法執行機関や業界パートナーとの連携を深めていくとしました。
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