迷子犬探しにも最適な「鼻の模様」に着目した犬認証システムは95%の高精度で個々の犬を正しく識別
中国政府による監視プログラムのために顔認証ソフトウェアを提供している中国の人工知能(AI)スタートアップ・Megviiが、犬の顔を認証するAIシステムを開発中であることが明らかになっています。このシステムの特徴は「犬の鼻の模様」を認識することで、個々の犬を識別するという点です。
Move over humans, this startup is making facial recognition for pets | Abacus
https://www.abacusnews.com/future-tech/move-over-humans-startup-making-facial-recognition-pets/article/3018307
A Chinese AI startup is tracking lost dogs using their nose prints - The Verge
https://www.theverge.com/2019/7/13/20693064/megvii-chinese-ai-facial-recognition-lost-pets-dogs-cats-surveillance
犬の鼻の模様は個体特有のもので、人間でいえば指紋のようなものです。この考えに基づいて開発されたのが、Megviiが開発した犬認識システムです。
Megviiの犬認証システムはスマートフォンのアプリとして使用できるもので、一般的なスマートフォンに搭載されている指紋認証や顔認証といった生体認証機能のように、複数の角度から犬の鼻の写真を撮影することで、犬の「鼻の模様」をデータベースに登録します。なお、写真は高解像度のものを必要とするものの、スマートフォンを用いれば簡単にデータベースへの登録が可能です。
Megviiの犬認証システムは識別用のチップなどを犬の体内に埋め込むような既存の方法と比べると、非侵襲性であり、導入コストも非常に安価で済むという利点があります。また、実際に犬認証システムは95%の精度で犬を正しく識別することに成功しています。
犬認証システムを開発しているのはMegviiだけではありません。Finding Roverというスマートフォンアプリでは、同じように顔認証システムを用いて行方不明になった犬を探すことが可能。Finding Roverはユタ大学が開発した機械学習アルゴリズムを使用して犬の顔認証システムを構築しており、アプリ開発者によると、これまでにアプリを用いて1万5000人以上が迷子になった飼い犬との再会を果たしているとのこと。
ただし、Megviiの犬認証システムは中国では迷子の飼い犬を探すためだけに用いられるとは限りません。ペット業界に関する調査報告書によると、中国の都市部では9100万匹以上の犬・猫といったペットが飼育されており、ペットとペットの飼い主が急増するにつれ、市民からの苦情も増加している模様。例えばペットのふんを正しく処理しなかったり、公共の場でペットをリードなしで放し飼いにしていたりと、問題はさまざまです。
そのため、中国の地方自治体では厳しい規制が設けられるようになっており、違反者には厳しい罰則が科されます。そのような規制を破るペットの飼い主を特定するために、Megviiの犬認証システムが使用されるようになる可能性もあるというわけです。
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