Appleがインドで生産したiPhoneを初めて輸出、端末価格の低下も見込める？

Foxconnのインド工場で「iPhone XR」や「iPhone XS」といったAppleの最新主力製品の組み立てが開始されたとロイターが報じました。これに続き、Wistronのインド工場で生産されたiPhoneが、ヨーロッパ市場向けに初めて輸出され始めたとThe Economic Timesが報じています。

iPhones: Apple starts shipping India-made iPhones to European markets
https://economictimes.indiatimes.com/tech/hardware/apple-starts-shipping-india-made-iphones-to-european-markets/articleshow/70166859.cms

AppleのiPhone生産を請け負う台湾を拠点とする電子機器の受託生産企業のWistronは、インドのベンガルール近郊にある工場でiPhoneの生産を行っています。この工場で生産されたiPhoneが、インド製iPhoneとしては初めてインド国外へ輸出されたと報じられました。

調査企業のCounterpoint Researchで働くNeil Shah氏によると、Wistronのインド工場で生産されたiPhoneのうち、「iPhone 6とiPhone 7が月に10万台以下の量で輸出されています。この輸出は数か月前にヨーロッパ市場向けに始まったばかりです」と指摘しています。

The Economic Timesに情報を提供したモバイルテクノロジー業界の上級幹部2人は、Wistronがインドから輸出しているiPhoneの量は、工場の総生産能力の70～80％程度であると指摘しています。なお、Wistronは2018年からiPhone 6の生産をスタートさせており、2019年からiPhone 7の生産を開始した模様。

iPhoneの生産を担当していることで有名なFoxconnも、新たにインドでiPhoneの生産を開始することを発表しています。

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Appleのサプライヤーがこぞってインドに工場を建て、インドからiPhoneを輸出しようとしている理由は明確で、インドからの輸出の場合、高い関税を回避でき端末の販売価格を下げることが可能になるためです。加えて、2019年6月にはアメリカが中国との関係悪化から中国への関税引き上げを発表しており、電子機器の販売価格がより高騰する可能性があるという懸念もあります。

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AppleはWistronやFoxconn以外に、Pegatronなどのサプライヤーに対しても生産量の15～30％程度を中国以外の国や地域に移すよう要求している模様。これがアメリカと中国の間で巻き起こる貿易戦争の影響であることは明らかです。

なお、Foxconnがインド工場で組み立てを開始したiPhone XR/XSの月間生産量は約25万台で、そのうちの70～80％が国外へ輸出される可能性があるとのこと。

インドでの製造・輸出が加速する中、iPhoneのインド市場でのシェアはまだまだ中国企業や韓国のSamsungには遠く及ばないというのが現状です。しかし、平均収入が3万ルピー(約4万8000円)以上という富裕層のみでいえば、AppleはOnePlus、Samsungに次ぐ3番目のシェア(18％)を誇るそうです。

また、インド工場が増えれば、AppleがインドでApple Storeをオープンするために満たさなければならない「現地調達基準」を満たすことに役立ちます。なお、インドではこの調達基準を緩和する動きが出ているため、Apple Storeの開設はより早まる可能性が大いにあるとのことです。