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【訃報】カオス理論の先駆的研究者ミッチェル・ファイゲンバウム博士が死去


自身の名を冠したファイゲンバウム定数などカオス理論の分野で卓越した業績を残したミッチェル・ジェイ・ファイゲンバウム博士が2019年6月30日にニューヨークで亡くなっていたことがわかりました。74歳でした。

The Rockefeller University » Mitchell Feigenbaum, physicist who pioneered chaos theory, has died
https://www.rockefeller.edu/news/26289-mitchell-feigenbaum-physicist-pioneered-chaos-theory-died/

ファイゲンバウム博士は1944年12月19日、アメリカのペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれ、ニューヨーク州ブルックリンで育ちました。ラジオ機器に興味を持っていたファイゲンバウム博士は、電気技師を志してニューヨーク市立大学で電気工学の学士号を目指すも物理学に魅了され、物理学者に転身。マサチューセッツ工科大学(MIT)で理論物理学の博士号を取得します。コーネル大学に1970年から1972年、バージニア工科大学に1972年から1974年まで勤めた後、ロスアラモス研究所に勤務。ロスアラモスでの研究が後の「カオス理論」に繋がります。

ファイゲンバウム博士が研究を始めたとき、カオス理論なる言葉はまだ生まれてもいませんでした。ニュートンを含めて世界の科学者は、太陽系の惑星の軌道などの複雑系の計算予測値と実測値の「ずれ」の問題を解決しようと取り組んできました。同じ系で起きている現象でも、初期値がわずかでも異なると最終結果に大きなズレが生じる場合があるのは科学者の悩みの種となっていました。

この問題に着手したファイゲンバウム博士は、一見ランダムに見える数値のズレの中にも規則性があることを発見し、計算モデル化し、さらにはこの規則性を数学的に証明した上で、普遍性があることも示しました。この普遍性について、後に電気回路から生物学的システムまで多くの実例が発見されています。ファイゲンバウム博士が発見した規則性は「ファイゲンバウム定数」と博士の名が冠され、ファイゲンバウム博士は1986年にノーベル賞に次ぐ権威を誇るといわれるウルフ賞物理学部門を受賞しました。


ファイゲンバウム博士はカオス理論の研究の他にも、地図作成において地球のような3次元的物体を2次元平面に投射する際に生じる形と縮尺のゆがみを正確にするソフトウェアや、さらに名称ラベルを何千もの都市や川などに数分で配置するコンピュータープログラム、金融派生商品仕組商品などの価格決定を行うプライシングツール「Numerix」を共同開発したことでも知られていました。

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in メモ, Posted by log1k_iy

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