サイエンス

抗生物質すら効かない細菌の対抗策は「キッチンスポンジの中」にあるかもしれない

By RitaE

抗生物質とは体内の微生物の繁殖を抑え感染症などに有効な薬ですが、人類が抗生物質を多用するようになった結果、抗生物質に耐性を持つ「抗生物質耐性菌」が急速に増え出しています。そんな抗生物質耐性菌に対抗しうるバクテリオファージ(ファージ)が、「キッチンスポンジの中」に見つかるかもしれないという研究がアメリカ微生物学会の年次総会ASM Microbeで発表されました。

There are Bacteriophages in Your Kitchen Sponge | SOURCE | NYIT
https://www.nyit.edu/event/source/abstracts/weiss_brianna

The Solution to Antibiotic Resistance Could Be In Your Kitchen Sponge
https://www.asm.org/Press-Releases/2019/June/The-Solution-to-Antibiotic-Resistance-Could-Be-In

ファージはウイルスの一種で、感染した細菌の細胞膜を溶かしてしまうかのように破壊します。抗生物質に耐性を持つような菌が増えているということは、その抗生物質耐性菌を餌として食べるようにファージが進化する可能性につながっています。

抗生物質が効かない耐性菌も簡単に殺してしまう最強のウイルス「バクテリオファージ」とは? - GIGAZINE


ニューヨーク工科大学の研究チームは、「そのようなファージの『進化』が生じているとすれば、細菌とファージが常に繁殖しているような場所だろう」と考えた結果、その場所として「キッチンスポンジ」を選びました。

キッチンスポンジではあらゆる種類の微生物が繁殖し、その中には人体に有害な細菌も含まれています。キッチンスポンジに存在する細菌のトップ10のうち5つは、病気に関連があることが判明しており、人類はそういった菌を何とかしようと努力を重ねているものの、キッチンスポンジに繁殖した菌のせん滅はかなり難しいことが判明しています。今回の研究では、キッチンスポンジが持つ細菌の温床となるような性質を持っていることを逆に利用したというわけです。

食器用スポンジは細菌のコロニーと化していて煮沸処理は無意味、細菌の繁殖を可視化するとこんな感じ - GIGAZINE


研究チームのメンバーはそれぞれの自宅の台所からキッチンスポンジを持ち寄り、その中で繁殖していた細菌を分離。それぞれの細菌を「餌」とするファージを単離しました。発見されたファージは2種類でしたが、それぞれの餌となった細菌のDNAを比較したところ、両方とも主に糞便中で発見される腸内細菌科の一種であることが判明し、2つのファージは高い関連性を持つことがわかりました。しかし、この2種のファージは、生化学的検査では異なる化学的性質を示したとのこと。

ファージはその種によって、感染する細菌が異なることが知られています。研究チームのブリアンナ・ワイスさんによると、ファージの持つ化学的性質の差異がファージが感染する細菌に関わってくるため、この差異を研究することが特定の抗生物質耐性菌を治療するファージの発見につながるとのこと。ワイスさんは研究の展望として、「ファージを単離する研究を続け、抗生物質耐性菌に選択的に感染するようなファージを発見できるように努力を重ねるつもりです」と語っています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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