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「USBに裏表がある理由」をUSBの開発者が明かす

By rawpixel.com

コンピューターの周辺機器を接続するための規格「USB(ユニバーサル・シリアル・バス)」のほとんどには裏表があり、「おや、刺さらないぞ…… 逆向きか!」となることがよくあります。うっかり逆向きでUSBを差し込もうとしてしまうたびに「なんでこんな設計にしたんだ!」と毎度のように怒りを覚える人もいるはず。そんなUSBの開発者エージャイ・バット氏が「USBコネクタに裏表がある理由」を明らかにしています。

Ever Plugged A USB In Wrong? Of Course You Have. Here's Why : NPR
https://www.npr.org/2019/06/21/734451600/ever-plugged-a-usb-in-wrong-of-course-you-have-heres-why

Intelは1990年代後半に、マウスやプリンターなどの周辺機器をPCに接続できるようにするためのユビキタスな接続インターフェイスであるUSBを開発しました。USBはその便利さから急速に広まりましたが、ある問題をコネクタ部分に抱えていました。

National Public Radioのインタビューに対し、開発プロジェクトチームのリーダーだったバット氏は「最大の問題点は裏表があることです」と語っており、この問題について把握しているそうです。しかし、バット氏はUSBの裏表がある設計を今でも支持しているとのこと。

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バット氏によると、USBに裏表のある設計を採用した理由は「コスト」だとのこと。もし仮にUSBから裏表をなくしてどちらでも差し込めるようにすると、ワイヤーと回路が2倍必要となり、価格も2倍になってしまうそうです。USBの製造コストが上がると、USBポートを備えるPCの原価も上がってしまいます。当時「マウスやプリンターなど全ての周辺機器を接続できる端子」という発想自体が斬新であり、PCの製造メーカーにUSBポートを備え付けるよう売り込むためにはその製造コストが常に問題だったわけです。

徹底したコストダウン戦略が功を奏したのか、1998年にはUSBポートを備えたiMacが登場し、1999年に発売されたWindows 98 Second Editionは正式にUSBに対応していました。その後もUSBは普及し続け、現代では業界標準とまで言われる規模に成長します。USBの躍進の結果、今では「あのプリンター独自のポート」「このキーボード独自のポート」といったことはなくなりました。

by Marco Verch

バット氏はUSBの開発に関して「開発とはチームスポーツで、名声はテクノロジー自身に与えられるべきです」と語っており、Intelから特許料などを受け取ってはいないそうです。

National Public Radioは「差込成功率50%の裏表のある長方形デザインよりも丸型デザインという案もあったのでは」と指摘しながらも、「もっと差し込みにくい形状にされるよりは良かった」と記しています。


なお、2014年にはリバーシブルに差し込むことのできるUSB Type-Cが登場しました。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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