歓声と拍手が湧き上がり美しい芸術花火が堪能できる「京都芸術花火2019」を見てきました

2018年に行われたノンストップで流れる音楽に美しい花火が調和する芸術花火の1つ京都芸術花火が、2019年5月29日に再び行われるということで、実際に見てきました。

京都芸術花火2019
https://www.kyoto-hanabi.com/

場所は、京都府京都市伏見区向島又兵衛にある京都競馬場です。


16時、一般入場開始1時間前の会場の様子。スタンド前の芝生エリアに全席有料指定のパイプ椅子がびっしりと並べられています。

人が多く集まるイベントということで、警備にも力を入れています。京都府警の爆発物探知犬が会場内を念入りに調べていました。

17時開場直後の様子です。開場を待っていた人たちが次々と入場してきます。

イベント開始までまだ2時間ほど余裕があります。飲食販売エリアでは弁当や飲料水などを買い求める人の姿が多く見られました。

ターフビジョンでは、吉本興業株式会社のアップダウンによる「ボランティアスタッフの指示には優しく従って欲しい」という内容をお笑いで伝えるビデオが流れています。

当日は、第1部として野村花火コレクションというプログラムが登場。第2部として、Great Sky Artと題した花火が打ち上がりますが、その内容は秘密となっています。

18時50分、ターフビジョンに「花火師紹介」が映し出されました。今回参加している花火会社から6社紹介されます。トップバッターは、響屋大曲煙火株式会社です。「『明るい花火を作る明るい会社』花火の街・大曲にある花火会社『響屋大曲煙火」を訪ねてきました』」で訪問した花火会社です。

普段は見られない花火作りの工程や花火師のインタビューなどがあり、花火会社の知られざる部分を見ることができる貴重な内容となっていました。

紹介ビデオが流れる中、辺りが暗くなってきます。観客もだんだん増えてきました。

花火開始5分前、花火師紹介ビデオの最後に登場したのは、前回に引き続き花火の演出を手がけるPyrosmithの花火コレオグラファー(振付師)大矢亮氏です。制作工程や演出に関するインタビューなどが紹介されました。

19時50分、第1部野村花火コレクションが始まりました。ここでは、全国花火競技大会や数々の競技大会で優勝するなど日本屈指の花火会社野村花火工業株式会社の作品からいくつか紹介され打ち上がります。まず最初に、通常の花火大会であればこの花火1発が目玉企画となりえるくらいの貴重な花火五重芯変化菊が打ち上がりました。実際に打ち上がった花火のムービーがこちら。

野村花火コレクションから五重芯変化菊【京都芸術花火2019】 - YouTube

野村花火コレクションが終わるといよいよ本編の第2部、約50分におよびノンストップで音楽が流れ花火が打ち上がる「Greate Sky Art」が始まります。1曲目は、サザンオールスターズの「ピースとハイライト」でした。曲が始まると同時に下からトラと呼ばれる花火が扇状に打ち上がると、観客からは「わぁ」という歓声が上がりました。曲名と歌手がターフビジョンに写し出されるので、「誰の曲？」という疑問がその場で解決できるのがうれしいところ。

「二度と戦争が起きないように仲良くやっていこうよ」というメッセージが込められた歌ですが、「令和」の和と重ね合わせた天皇陛下即位記念にふさわしい1曲です。

終盤には、下から吹き上がる花火がコースに沿って左奥の2コーナーから右奥の3コーナー、右手前の4コーナーから左手前のゴールへと本物の競馬と同じ流れで連続して打ち上がり、競馬場ならではの疾走感を味わえる演出もありました。

1曲目が終わると同時に途切れなく2曲目、Ricky Martinの「She Bangs(Spanish version)」が流れます。ハイテンションなノリノリの曲に合わせて、会場の左右目いっぱい使った花火の演出が見られました。

3曲目は、上間綾乃の「ソランジュ」です。ソランジュとは、大きな樹木になった時に、枝に新たな生命が宿るという、大きな命のサイクルを意味して付けられた言葉です。さまざまな花が咲くような演出が多く見られました。

4曲目は、宮川彬良の「さくら幻想曲」でした。歌ではなくオーケストラの演奏となります。下の写真は「さくら、さくら」のメロディに合わせて点滅するしだれ柳が現れる場面です。

満開の桜。上部の細かい桜の花びらは、最後にふわっと現れ、一瞬の強風で散る桜の桜吹雪を表現したような様子に会場から大きな拍手が湧きました。

5曲目は、椎名林檎と宮本浩次の「獣ゆく細道」です。前半の山場という感じで、次々と花火が上がります。手前側と奥側の花火が交互に上がり、立体感が強く感じられる演出になっています。

6曲目は、U2の「Vertigo」でした。フィギュアスケートの羽生結弦選手がエキシビジョンのBGMとして使っていた曲でもあります。下から吹き上がる花火がボーカルのメロディにぴったりと合わさり、ボーカルと一体となった花火が次々と上がります。

7曲目は、DAOKO×米津玄師の「打上花火」でした。この曲だけで花火大会を1つ見た気分になるような感じのゆったりとした演出が見られました。

8曲目は、Darudeの「Sandstorm」です。格闘技や野球などでの選手の入場曲として使用されていることで聞いたことのある人も多いテクノミュージックです。 花火の色の変化とリズムのシンクロや、1分40秒からのメロディーのテンポアップと閃光・号砲の花火との呼応など、高揚感を得られる独特な演出があります。

テクノと花火のコラボレーション Sandstorm【京都芸術花火2019】 - YouTube

赤色の花火は、テクノのビートに合わせて星の色が変化する花火で音と映像とのシンクロが面白いシーンでした。

中盤では、閃光を放つ花火とテクノのメロディが呼応し、観客の興奮をかき立てる場面も。

曲の最後には、複雑な色変化する大玉が上がり観客から歓声が上がりました。

続いて9曲目は、QUEENの「ボヘミアン・ラプソディ」です。「大曲の花火 春の章2019」「はなびFes.2019」に続き、京都芸術花火でもボヘミアン・ラプソディによる演出が見られました。

ボヘミアン・ラプソディー【京都芸術花火2019】 - YouTube

イントロのアカペラパートは優しく丁寧に打ち上げる演出から始まりました。最後にカラフルで色鮮やかな花火が上がり、ここでも観客から歓声が上がります。

続いて、バラードパートです。QUEENの2作目のアルバムQUEEN Ⅱのジャケットなどで、メンバーが手を交差させている写真があります。ここでは、X字に打ち上がり垂れ下がる花火で交差する手を表現しているような花火が多数見られました。

ギターソロパートは、ギターのメロディをBGMにしてゆったりと花火が上がる落ち着いた感じの演出でした。

オペラパートは、前節のゆったりとした表現と違いオペラの歌声と同期した花火が、右・左・奥と会場のいたる所から発射されめまぐるしい展開となります。

ロックパートの最後には、再び花火が競馬場を駆け巡ります。下から一筋に上がる花火をトラ(虎の尾)と言いますが、競馬場で馬ではなくトラが走りました。

最終パートは、点滅しながら垂れるしだれ柳から八方咲きの大玉が上がり、褐色の和火のしだれ柳が現れドラの音と同時に明るく銀色に点滅する花火が現れ歓声が上がります。下の写真は、最終パートでシャッターを離すことができなかったため、これらのシーンをまとめた写真となりました。

10曲目は、Jonathan & Charlotteの「Vero Amore」です。曲名を和訳すると真の愛となります。オペラ歌手の力強い歌声に合わせたスケールの大きい花火が上がります。

11曲目、吉田拓郎・中島みゆきの「永遠の嘘をついてくれ」でした。金色にキラキラと輝きながらゆっくりと燃える錦冠と呼ばれる花火が最後の場面で上がります。

そして、フィナーレとなる12曲目は、John Lennonの「Imagine」です。京都芸術花火では、エンディングは派手な花火で締めるのではなく、大玉を一発ずつ上げて余韻を楽しむスタイルでフィナーレを演出します。

終了後、何人か感想を聞いたところ「とても綺麗な花火で良かったです」「音楽との一体感が凄い」など、迫力だけではなく見て楽しめるイベントという感想が多かったです。

観客が帰った後、ボランティアスタッフにより椅子を片付ける準備が行われていました。会場を見渡すとゴミが全く落ちていません。ゴミを回収するスタッフが常時会場を回っていたりとボランティアの活躍で成り立っているイベントです。

学生ボランティアの平原綾耶夏さん(写真中央)は、前年に引き続き2年連続でボランティアスタッフとして参加。感想を聞いたところ「花火が綺麗で楽しいので今年も参加しました。来年もあればもちろん参加します」とのこと。

京都芸術花火は、芸術花火を運営するスタッフ、花火会社、ボランティア、そして全ての場面で拍手を送る観客と関わる全ての人たちが一体となって楽しめる花火イベントです。関西では、このような花火の美しさ、芸術性を楽しむ花火のイベントが増えつつあります。2019年8月10日に行われる第31回 なにわ淀川花火大会では、今回最初に上がった「野村花火工業株式会社の五重芯変化菊が打ち上がります」と告知されています。その他の花火イベントでも事前に告知されている大会があるので、興味のある方は花火大会の情報サイトなどを調べてみてください。

◆参加花火会社
・アルプス煙火株式会社
・有限会社安藤煙火店
・有限会社糸井火工
・有限会社伊那火工堀内煙火店
・有限会社柿薗花火
・加藤煙火株式会社
・株式会社北日本花火興業
・株式会社國友銃砲火薬店
・株式会社小松煙火工業
・株式会社齊木煙火本店
・三遠煙火株式会社
・信州煙火工業株式会社
・筑北火工堀米煙火店
・新潟煙火工業株式会社
・野村花火工業株式会社
・株式会社ハナビランド
・響屋大曲煙火株式会社
・株式会社マルゴー
・株式会社山崎煙火製造所
・株式会社山内煙火店
・株式会社ワキノアートファクトリー