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Qualcommは20年近くもスマホ業界を支配して競争を停滞させてきたという指摘

By anankkml

2019年5月21日、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所は連邦取引委員会(FTC)の訴えを認め、大手チップメーカーのQualcommは独占禁止法に違反しているという判決を下しました。この判決を受け、ニュースサイトのArs Technicaが「Qualcommはいかにしてスマートフォン業界から20年間も搾取してきたか」という記事で、Qualcommがスマートフォン業界にもたらした負の影響について解説しています。

How Qualcomm shook down the cell phone industry for almost 20 years | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2019/05/how-qualcomm-shook-down-the-cell-phone-industry-for-almost-20-years/

Ars Technicaによると、Qualcommがスマートフォンチップ市場を支配してきた戦略の柱となるものが、契約相手に自社の特許の使用許可を与える「特許ライセンス契約」です。カナダのBlackBerry社のある重役に「Qualcommが供給するCDMA機器がなければ、売り上げが3割も落ちるだろう」と言わしめたほど、Qualcommはチップ業界をリードする技術力を保有していました。それゆえ、同社のチップを使用したいスマートフォンメーカーは後を絶ちませんでしたが、Qualcommはそれらのメーカーに対し、自社に有利な特許ライセンス契約を結びました。

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この契約に関する問題点は3つです。問題点の1つは、Qualcommはこの特許ライセンス契約の期限が切れる場合、チップの供給を一方的に中止する権利を有するという点です。スマートフォンに搭載されるモデムチップは代替となる供給元を確保するのが困難だったため、メーカー側がQualcommに対して契約の改訂を要求するために訴訟しようとしたとしても、Qualcommは「チップ供給を打ち切るぞ」と脅すことが可能でした。今回の裁判では、Qualcommは2001年のSamsung、2004年のLG、2015年のモトローラなどの契約において、この戦略を繰り返し使用していたことが明らかにされているそうです。

2つ目の問題点は、「『販売されたモバイル機器1台あたり○○ドル』をQualcommに支払う」という契約内容です。この契約はチップの販売価格とは別の契約だったため、Qualcommは他のチップメーカーよりもチップの販売価格を引き下げることができました。販売台数に基づく契約によって、Qualcommは価格競争において優位に立てたというわけです。

3つ目の問題点は、「Qualcomm製チップの使用率に応じたリベートの存在」です。Qualcommは、競合他社のチップではなく、自社のチップを搭載している場合にはリベートを渡していました。このリベートは巨額だったため、メーカー側はQualcomm以外のチップを選択肢から除外するようになり、チップメーカー全体の競争力が失われました。Qualcomm内部のメールによると、2015年度のAppleは、Qualcomm以外のチップを搭載したiPhoneを販売した場合、6億4500万ドル(約700億円)のリベートが取りやめになってしまう契約だったとのこと。

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Qualcommは過去20年間でLG、ソニー、Samsung、Huawei、モトローラ、Lenovo、ZTE、ノキア、そしてAppleと同種の契約を取り交わしていました。Qualcommに対抗するためにチップモデムを1から設計製造するには約数百億円が必要で、完成したチップは数年で時代遅れになってしまいます。チップが完成したとしても、大手メーカーが契約を結んでくれるかどうかも定かではありません。これらは全て、公正な競争を阻害しています。

また、Qualcommは競合他社への自社の特許ライセンスを許諾しなかった点も問題視されました。チップメーカーは通常、販売するチップに関連する特許の問題をすべてクリアしてからチップを販売しています。しかし、Qualcommが有している特許については許可が下りず、特許技術をチップに導入することは実質的に不可能になっていたとのこと。また、Qualcommはライセンスを他社に許諾する場合においても、他社が求めるライセンスだけではなく、不要なライセンスも「セット販売」として、一緒に売りつけていたそうです。当然ながら、不要なライセンスを含むセット販売の価格は、必要なライセンスのみの価格よりも高額になります。

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以上の理由から、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所はFTCの訴えを認め、Qualcommは独占禁止法に違反しているという判決を下しました。Qualcommはこれを不服として、控訴する意思を見せています。

Qualcommは数年間にわたってAppleと訴訟合戦を行っていましたが、2019年4月に和解し、Appleから巨額の和解金を受け取りました。

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今回の判決が、AppleとQualcommの今後にどのように影響するかは不明です。

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by log1k_iy

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