サイエンス

AIが「ジャンクDNA」と呼ばれる領域から自閉症に関連する遺伝子を発見することに成功

by Pete Linforth

生物の肉体を構成するタンパク質はDNAの塩基配列を元に合成されていますが、ヒトゲノムのうちタンパク質の合成に直接関与していることが判明しているのはわずか3%で、残りの97%は一体どんな機能があるのか分かっていない「ジャンクDNA」だといわれています。しかし、ヒトゲノムの解析にディープラーニングを用いることで、これまでジャンク(=ガラクタ)とされてきた領域から自閉症に関与している遺伝子を新たに発見することができたとの研究結果が科学誌Nature Geneticsに掲載されました。

Whole-genome deep-learning analysis identifies contribution of noncoding mutations to autism risk | Nature Genetics
https://www.nature.com/articles/s41588-019-0420-0

New Causes of Autism Found in ‘Junk’ DNA
https://www.simonsfoundation.org/2019/05/27/autism-noncoding-mutations/

ディープラーニングを用いた分析によりジャンクDNAから自閉症と関連する遺伝子を発見したのは、プリンストン大学ルイス・シグラー総合ゲノム研究所に所属するJian Zhou氏らの研究グループです。研究グループは1790人の自閉症患者と、その自閉症患者の家族の全ゲノムをディープラーニングにより分析しました。また、分析結果から「血縁者から遺伝した自閉症遺伝子」の影響を除外するため、分析するゲノムから、近縁の家族に自閉症患者がいる自閉症患者のゲノムは除外して分析を行っています。

by EpicStockMedia

その結果、タンパク質の合成に直接関与していないジャンクDNAから自閉症に関連している遺伝子配列を発見することに成功したとのこと。分析では、かねてから自閉症との関連性が判明しているタンパク質を合成する遺伝子も検出されましたが、それらの遺伝子配列は今回特定された遺伝子配列全体の30%程度に過ぎず、残りの70%はジャンクDNAの領域から見つかったものでした。

これまでジャンクDNAは「タンパク質を合成せずともなんらかの調整機能を有しているのではないか」と推測されてきましたが、その具体的な事例はほとんど確認されていませんでした。というのも、ジャンクDNAは一見すると何の脈絡もないランダムな塩基配列でしかないため、患者のゲノムとそうでない人のゲノムを比較してもその差異が何を意味するのか分からず、原因として特定することができないためです。

by bialasiewicz

ディープラーニングを用いた手法では、遺伝子配列のふるまいが分かっていなくても、配列の差異そのものに着目して疾患との関連性を予測することができます。これによって、無作為にゲノムを比較していくのではなく、疾患と関連性の深い遺伝子の変異に焦点を当てて研究を進めることが可能になるとのことです。

研究グループのメンバーであるスタンフォード大学のOlga Troyanskaya教授は今回の発見について「ディープラーニングを用いて分析を行うことで、自閉症のみならず原因遺伝子が判明していないさまざまな疾患の原因を特定することが可能になります」と語り、これまで顧みられてこなかった97%の遺伝子から多くの発見が期待できるとの見方を示しました。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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