YouTuberを養成する「YouTubeサマーキャンプ」が登場、高額なレッスン料を支払う親たちの胸中とは

by Marco Del Torchio

YouTubeでムービーを公開し広告収入などを得る「YouTuber(ユーチューバー)」は、今や子どもの3人に1人があこがれる職業で、YouTuberの中には弱冠7歳にして24億円以上を稼いだ事例もあります。そんな中、将来のYouTuberを養成する「YouTubeサマーキャンプ」が登場しました。高額なレッスン料を支払ってでも子どもを「YouTubeサマーキャンプ」に入れる理由とは一体何なのか、海外のニュースメディアがインタビューから明らかにしています。

Your Kid Wants to Be a YouTuber? There’s a Camp for That - WSJ
https://www.wsj.com/articles/your-kid-wants-to-be-a-youtuber-theres-a-camp-for-that-11558431001

YouTube Camps Are Big Business for Parents Who Can Afford Them
https://www.dailydot.com/upstream/youtube-camps/

Parents are paying up to $1,000 a week to send their kids to YouTube camp for the summer - Pulse Nigeria
https://www.pulse.ng/bi/tech/parents-are-paying-up-to-dollar1000-a-week-to-send-their-kids-to-youtube-camp-for-the/799pc9c

「サマーキャンプ」というと、かつてはハイキングやキャンプファイヤーなどのレクリエーションを通じて自然と触れあうのが主な内容でした。しかし、近年では早いうちから子どもの技術や才能を伸ばすため、特別なプログラムを実施するものも増えています。

by Jason Doan

そんな世相を背景に開かれるようになったのが「YouTubeサマーキャンプ」です。YouTubeと銘打っていますが、YouTubeと公式に提携したものではありません。YouTubeサマーキャンプの中でも特に注目を集めているサマーキャンプが、STAR CAMPSが開催する「YouTube STAR CREATOR STUDIO」で、費用は週に375ドル(約4万1000)円です。1セッションが2週間とのことなので、一通り修了するためには750ドル(約8万円)ほどかかることになります。

ほかにも、アメリカ・イギリス・香港・台湾で「YouTube Summer Camp for Kids & Teens」を展開しているiD Techや、YouTubeチャンネルの開設方法から人気ゲーム「Minecraft(マインクラフト)」のプレイ方法まで教える「Level Up Kids」のLevel UPなどが続々とYouTubeサマーキャンプ市場に参入しています。

YouTubeサマーキャンプの対象年齢は実施主体やコースなどにより6歳ごろから18歳ごろまで幅がありますが、YouTubeの利用年齢制限である13歳に満たない場合は、両親やキャンプの主催者が用意したYouTubeアカウントでYouTuberになるための方法を学ぶとのこと。プログラムの内容はカメラを使ったムービーの撮影・編集方法やYouTubeの使い方に始まり、ゲームの実況配信のやり方や「安全かつ面白い」失敗映像集の作り方、レビューで収益を得る仕組みまで多岐にわたります。

by Gianandrea Villa

そんなYouTubeサマーキャンプに子どもを入れた親を対象に、Wall Street Journalがインタビューを実施したところ、大半の親が「子どもを『YouTubeスター』に仕立て上げたいとは思っていない」と回答したとのこと。それどころか、口をそろえて「YouTubeは子どもたちの遊びに過ぎない」と話しており、「YouTuber」という職業さえ肯定的には見ていないということが分かりました。

Level Upの創設者兼CEOのジェフ・ヒューズ氏はこうした親たちの心境について、「YouTuberを目指す子どもの親たちは、子どもたちの強迫観念じみた情熱をあの手この手で教育に生かそうと躍起になっています。本音では、子どもたちにはオフラインでおとなしくしてもらいたいことでしょう。しかし、何も知らない子どもたちがインターネット上で大暴走する事態だけは避けたい。そして、あわよくば子どもにいろいろと勉強してもらおうという腹づもりです」と語っています。

by NomadSoul1

ヒューズ氏はさらに「YouTuberになるために必要な知識やスキルはITや機械工学など広範にわたるだけでなく、メディアや芸能・芸術などクリエイティブな職業全般に通用するもの」だと指摘し、子どもが同じ趣味や夢を持つ仲間と学ぶことで、チームワークやコミュニケーション能力、さらにはメディアリテラシーなどを身につけることが重要だと語りました。