iPhone製造メーカーが1000億円をかけてインドネシアでiPhoneのチップ生産をスタート、中国国外への移転傾向続く

by Tyler Lastovich

iPhoneなどApple製品の組み立てを行ってきた台湾のメーカー・Pegatronが、インドネシアの提携工場でiPhone向けチップの生産を開始することになりました。チップ生産のための投資額は10兆～15兆ルピア(約760億円～約1140億円)に上るとのこと。

Pegatron eyes up to $1 billion Indonesia investment to assemble Apple phone chips: deputy minister - Reuters
https://www.reuters.com/article/us-indonesia-pegatron-apple/pegatron-eyes-spending-up-to-1-billion-in-indonesia-to-make-chips-for-apple-official-idUSKCN1SY0TK

Apple supplier Pegatron announces it will invest up to $1bn to build iPhone chips in Indonesia - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2019/05/28/apple-pegatron-indonesia/

Pegatron shifts from China to Indonesia as trade war bites - Nikkei Asian Review
https://asia.nikkei.com/Economy/Trade-war/Pegatron-shifts-from-China-to-Indonesia-as-trade-war-bites

PegatronはFoxconnと並びApple製品の製造を担ってきたことで知られている台湾の電子機器メーカーで、これまで主に中国の生産拠点でiPhone 8やiPhone XRなどの組み立てを行ってきました。そのPegatronが、10兆～15兆ルピア(約758億円～約1139億円)を投資して、インドネシアのバタム島にある工業団地に工場を持つPT Sat Nusapersadaと提携してiPhone向けチップの生産を開始することになったとのこと。ロイター通信によれば、この情報はインドネシア工業省のイグナティウス・ワルシト氏が語ったものだそうです。

by photocreo

Pegatronは2018年12月にも「中国の人件費高騰」などを理由にインドネシアで新たな生産拠点を設けると発表していましたが、これまで具体的にどんな製品を生産するかは明らかにしていませんでした。また、Pegatronが携わってきたのはiPhoneの組み立てが中心で、心臓部となるチップの生産を行うのはこれが初めてだとのことです。この発表の背景には、激化の一途をたどる「米中テクノロジー冷戦」があるとみられています。

「米中テクノロジー冷戦」を制するのはどちらか - GIGAZINE

電子機器の製造拠点を中国からアジア諸国に移転させる動きは、Pegatronが最初ではありません。iPhoneの主な製造メーカーとして有名な台湾の電子機器メーカーFoxconnはPegatronに先駆けた2019年4月に「インドでiPhoneの製造を開始する」と発表しています。

iPhoneを製造するFoxconnが「インドでもiPhoneの製造を開始する」と発表 - GIGAZINE

同様に、Acerの製品設計・製造部門を前身とする台湾の電子機器メーカーWistronも2019年4月からインドでiPhone 7の製造を開始しています。

アメリカ合衆国通商代表部(USTR)は早ければ2019年6月中にも、中国から輸入するiPhoneなどの電子機器に最大で25％の追加関税をかけると発表しており、スマートフォンなどの電子機器の生産拠点を中国から移転させる動きは当面続くとみられています。