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AppleはApp Storeで公開するアプリをどうやって選んでいるのか?を元・中の人が説明


AppleはApp Storeで公開するアプリを非常に厳しい基準で選ぶことで知られていますが、2009年から2016年までApp Storeを統括しアプリのレビューを行ってきたPhillip Shoemaker氏が、Appleがどのようにしてアプリを許諾しているのかを明かしています。

Why Did Apple Reject My App? Ex-Head of App Store Review Explains - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-05-28/why-did-apple-reject-my-app-ex-head-of-app-store-review-explains

iOSアプリはApp Storeで販売される前にAppleにより許諾を受ける必要がありますが、この認証は非常に厳しいことで知られており、2008年にApp Storeがオープンしてから数多くのアプリが排斥されてきました。


例えば、画面をタップする指の圧力を感知する3D Touchを利用し、物の重さを測るアプリ「Gravity」は、App Storeでの公開を拒否されました。拒否理由の詳細についてAppleは説明しないので推測するしかありませんが、開発者は「ユーザーが重い物を画面に載せてディスプレイを壊してしまうかもしれない点」などにあると分析しています。

iPhoneの新機能「3D Touch」を使って物の重さを量れるアプリ「Gravity」がAppleに拒否された理由 - GIGAZINE


Shoemaker氏によると、初期のApp Storeでは1つのアプリに対して3人のレビュアーが審査を行っていたため、審査に多くの時間を要したそうです。その後、1つのアプリに対するレビュアーは1人になったのですが、「不適切なアプリやバグのあるアプリを取り除くには自動化されたツールではなく人間の力が必要だ」という考えから、人力によるレビューは記事作成時点でも続いています。それでも「あるべきではないアプリがApp Storeにある」という状態を完全に防ぐことはできていないとのこと。

アプリのレビュアーは毎朝MacやiPhoneを持って小さな会議室にやってきて、まず30~100のアプリを選択して、テストを行うため端末にダウンロードします。アプリのレビューはかなりの時間を要する仕事なので、App Storeが成長するにつれてスタッフの数も増え、カリフォルニアのオフィスはよりオープンかつ協力がしやすい状態になっていったそうです。

そして、AppleはShoemaker氏らのチームに対し、例え小さなサードパーティーアプリであっても、Googleなどの大企業のアプリと平等に審査することを命じました。iPhoneやiPadにとって重要なアプリであっても一切の妥協なくレビューされるため、「私はずっとFacebookに電話していました」「彼らが最も優秀な開発者の一人だとしても、本当にひどいコードを書くことがありましたから」とShoemaker氏は述べています。


またShoemaker氏は当初Google ボイスがiOSでなかなか認められなかった理由について、Apple社内で「GoogleやFacebookがiPhoneの機能に置き換わる多様なアプリを作るんじゃないか」という懸念があったことを認めています。しかし、最終的に、AppleはこれらのアプリをApp Storeで扱うようになりました。

Shoemaker氏は申請されたアプリを拒否する連絡をする時には非常に心が痛むことを告白しており、「アプリをApp Storeで公開しないということは、開発者が食べ物を買ったり、子どもを送迎したりするためのお金を得る機会を奪っているということになります」と語っています。

また、Appleが自社アプリをサードパーティーアプリと戦わせるという競争は、年々厳しくなっていると指摘。Appleの開発者向けカンファレンス・WWDC19は日本時間の2019年6月4日午前2時からスタートしますが、WWDCの直前は毎年「カオス」だそうで、記事作成時点ではまさにAppleは準備に追われていると語りました。

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in モバイル,   ソフトウェア, Posted by darkhorse_log

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