セキュリティ

顔認識技術による政府の監視はマイノリティを迫害し表現の自由を阻害すると電子フロンティア財団が警告

by PublicDomainPictures

Amazonは顔認識ソフトを警察に販売していますが、顔認識技術が人々やコミュニティの監視に使われるようになれば、人種的な少数派のコミュニティに悪影響が及ぶと専門家らが警告しています。電子フロンティア財団(EFF)もこの考えに賛同しており、「企業は顔認識監視技術を政府に売るべきではない」という声明を発表しました。

Governments Must Face the Facts about Face Surveillance, and Stop Using It | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/deeplinks/2019/02/governments-must-face-facts-about-face-surveillance-and-stop-using-it


顔認識システムを採用した監視カメラがイギリスや中国の警察に使われるケースが増加していますが、一方で顔認識の技術は完璧ではなく誤認識も多いと言われていることから、MicrosoftやGoogleの研究者が「顔認識技術」に規制を求めています。

2018年にはAmazonが警察に顔認識ソフトを販売していることが報じられましたが、このソフトが「95.53%の確率で人物と写真が合致した」と示した場合であっても実際には間違いが起こることがあり、多くの批判を呼んでいました。Amazonのシステムは特に有色人種で精度が落ちるという指摘もあり、人種差別につながる可能性が問題視されています。

Amazonが顔認識ソフトを警察に販売していることが判明、国民の監視に乱用される可能性アリとして警鐘が鳴らされる - GIGAZINE


そんな中、EFFも政府に対して顔認識技術を使った監視を中止するよう呼びかけています。

ワシントン州やマサチューセッツ州では超党派の議員たちが「特定の条件を満たすまで州政府が顔認識技術を使用することを禁止する」という法案を提出しており、EFFはこの姿勢を支持。法案は、警察が顔認識を行うためのウェアラブルカメラを装着することについても禁止するもとのとなっています。「顔認識技術による監視は弱い立場にある人々に不公平な影響を及ぼさない」という声を少数派のコミュニティから直接聞き、顔認識技術が人種差別的な影響を及ぼさないと判断されない限り、使用停止は解かれるべきではないと議員らは主張しています。


EFFはワシントン州の立法者に対して法案を支持する旨を記した書簡を送ったとのこと。

S.B. 5528 and H.B. 1654 (face surveillance moratorium) – SUPPORT | Electronic Frontier Foundation
https://www.eff.org/document/sb-5528-and-hb-1654-face-surveillance-moratorium-support


人の顔は変えたり隠したりすることが難しい識別マーカーです。人の顔を利用することで、権力者は公共の場で過ごし働く人々すべてを追跡可能になります。政府によって顔認識技術を使った監視が行われるようになれば言論の自由が阻害されるなど、憲法修正第1条で保障された権利への抑止力になりえるとのこと。これは裁判所も長らく危惧している事態です。

既に政府は、ブラック・ライヴズ・マターといった人種による不平等に反対するムーブメントに参加する活動家のソーシャルメディアを監視するなど、テクノロジーをスパイ行為に利用しています。また警察は少数派の人々が多いエリアに過度に監視カメラを設置しているという報告も存在します。このような状況からすれば、顔認識技術による監視が人種的なプロファイリングに採用されるという想像は難くありません。

これらの理由から、EFFは「企業は政府に顔認識監視技術を売るべきではない」と強く主張。ワシントン州の新しい法案はアメリカ自由人権協会(ACLU)を発端としているものであり、EFFもACLUの動きに賛同の意を示しました。

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in セキュリティ, Posted by darkhorse_log

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