3Dプリンター製のプラスチックヘルメットをバチカンのスイス衛兵が採用
ローマ教皇とバチカン市国を守るスイス衛兵は1506年に設立されてから500年以上続く格式のある部隊で、衛兵たちの独特で色鮮やかな制服や、槍や鎧といった装備は当時の伝統を今も色濃く残しています。そんな彼らが頭に被るヘルメットが、ついに現代技術の3Dプリンターで作られたプラスチック製ヘルメットに更新されることになりました。
The Vatican’s Swiss Guards are now using 3D printed helmets - The Verge
https://www.theverge.com/2019/2/24/18238786/vatican-swiss-guards-3d-printed-helmets
Vatican's Swiss Guards get new 3D-printed helmet - CNN Style
https://edition.cnn.com/style/article/vatican-swiss-guard-new-helmets-intl/index.html
Vatican’s Swiss Guard Trades In Metal Helmets for 3D Printed Ones | 3DPrint.com | The Voice of 3D Printing / Additive Manufacturing
https://3dprint.com/212598/vatican-swiss-guard-helmets/
スイス衛兵が着用しているのは、モリオンというヘルメットです。このヘルメットはこれまで、ローマ教皇ユリウス2世の紋章が刻印された鋼鉄で作られていました。ところが、このヘルメットは炎天下に何時間も立っているうちにやけどするほど熱くなったり、雨の日に着用するとすぐに錆びてしまったりするといった問題を抱えていました。
スイスの3D印刷企業3d-Prototypが製造した新しいヘルメットは、鋼鉄製ヘルメットをスキャンしてデザインされた耐紫外線PVC製。重さは2kgから570gまで大幅に軽量化されています。紫外線に強いだけでなく炎天下でも涼しいように通気孔も設けられていますが、耐久性が犠牲になっているわけではないとのこと。ひとつあたり2000ドル(約22万円)かかっていた製作費用も1000ドル(約11万円)と大幅にコストダウン。さらに、以前は100時間以上かけて鍛造されていましたが、3Dプリンターでは約14時間でプリントできるようになりました。
スイス衛兵のNicolas AlbertさんはCNNの取材に対し、「私たちの多くは旧来のヘルメットがあまり好きではなかったので、新しいヘルメットを装備するのを楽しみにしています」と答えました。
バチカン市国には現在110人のスイス衛兵が所属していますが、入隊するには30歳以下で身長は174cm以上、品行方正なカトリック教徒のスイス人男性という厳しい基準があります。
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