「ネズミの鳴き声の意味」を機械学習で解読するシステム「DeepSqueak」が開発中、マウス実験で活用される見込み

ネズミは学習能力が高く社会性も備わっており、1世紀以上にわたって多くの科学実験に利用されてきました。そんなネズミに対する理解を深めるため、ワシントン大学の研究者らは「ネズミの鳴き声をディープラーニングで分析し、鳴き声の意味を解読する」という研究を行っています。
Meet DeepSqueak, an algorithm built to decode ultrasonic rat squeaks - The Verge
https://www.theverge.com/science/2019/2/19/18225564/animal-research-rat-ai-science-software-automation-deepsqueak
ワシントン大学の研究者がいったいどのような目的と方法でネズミの鳴き声分析を行っているのかは、以下のムービーを見るとよくわかります。
This algorithm decodes rat squeaks and could revolutionize animal research

ネズミは長年にわたって医学実験に利用されており、75ものノーベル賞を受賞した研究でもネズミが使われていたとのこと。

研究者たちは実験のためにネズミに関するさまざまな測定を行いますが、研究者がこれまでうまく測定できていないものもあります。

ネズミは頭がよくて社交的で、よく鳴く生き物です。しかし、その鳴き声は人間が聞くことのできる音域を超えており、研究者にとってネズミの鳴き声は研究しづらい分野となっているそうです。

ワシントン大学医学部の研究者であるケビン・コーフィー氏は、「ネズミの鳴き声に関する研究はとても少ないのです」と語っています。

コーフィー氏は同僚のラッセル・マークス氏と協力して……

ネズミの鳴き声を迅速かつ正確に分析するソフトウェアを開発しました。

特別なマイクを使用して人間が聞こえない高周波の鳴き声を録音し、オーディオクリップを通して分析することができるとのこと。

オーディオクリップの中からネズミの鳴き声を見つけ、ネズミに対する理解を深めることができるとコーフィー氏は考えています。

コーフィー氏とマークス氏はうつ病や不安、薬物中毒に関する研究を専門に行っており、研究においてネズミを使うことが非常に多いとのこと。

「ネズミは学習能力が高く、人間と驚くほど遺伝的に似ています」とコーフィー氏は語り、ネズミを使った実験は人間にも応用が利きやすいそうです。

人間の耳は最大で20kHz(キロヘルツ)の音を聞くことができるそうですが、ネズミの鳴き声は20キロヘルツから115キロヘルツといった高周波であり、人間は多くの鳴き声を聞くことができません。しかし、高性能なマイクを使うことで鳴き声を捉えることが可能です。

ネズミが20キロヘルツくらいの低い鳴き声を発する時は、不安や緊張を感じているとのこと。一方で50キロヘルツほどの高い鳴き声を発している場合、ネズミは幸せを感じているそうです。

ネズミは遊ぶのが好きなので、研究者がくすぐってあげると喜んで高い鳴き声を発するとのこと。

かつて博士課程の学生だった時、コーフィー氏は手作業でネズミの鳴き声を分析していたそうです。しかし、手作業での分析は非常に時間がかかるため……

コーフィー氏はディープラーニングを用いてネズミの鳴き声を分析する方法を開発しました。

利用するシステムはなんと自動運転車に利用されるAI。このAIは画面に表示された一時停止の標識や人間などを見分けることが可能です。

コーフィー氏はネズミの鳴き声を録音したオーディオクリップを波形イメージ画像にして、自動運転車に利用されるAIに画像のパターンを分析させているとのこと。

「DeepSqueak」と名付けられたこのシステムでオーディオクリップを分析することにより、実験中にネズミが緊張していたり喜んでいたりする様子が簡単にわかります。個々の鳴き声を分析することにより、ネズミを鳴き声で分類することができるほか……

ネズミの鳴き声を波形やピッチごとに一覧分布にしてパターンを見つけ出すことで、ネズミの言語構文を見つけ出せるのではないかとマークス氏らは考えています。

ひょっとするとネズミの鳴き声は単なる音ではなく、「言葉」かもしれないのです。

コーフィー氏とマークス氏は、より多くの研究者がネズミの鳴き声に注目して分析を行うことを期待しています。

ネズミの「ロゼッタ・ストーン」を見つけるには、より多くの研究者がネズミの鳴き声を研究する必要があるとコーフィー氏は語りました。

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in サイエンス, 生き物, 動画, Posted by log1h_ik
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