野良猫は都市部のネズミに対してはあまり脅威になっていないという研究結果
by Sebastian Molina fotografía
ネズミにとって猫が天敵というのはカートゥーンアニメ「トムとジェリー」で描かれている通り……のはずなのですが、研究によると、都市部でみられる野良猫は、あまりネズミの脅威となっていないようです。
Frontiers | Temporal and Space-Use Changes by Rats in Response to Predation by Feral Cats in an Urban Ecosystem | Ecology and Evolution
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fevo.2018.00146/full
これはフォーダム大学のマイケル・パーソンズ氏による研究で明らかになりました。
野良猫は「捕食者」の立場にあり、ネズミだけではなく鳥や小動物も捕食して都市の生態系のバランスを破壊してしまう恐れのある存在です。しかし、そのリスクがあっても、「害獣であるネズミを捕食してくれる」というメリットがあると考えられてきたことから、これまでは「野放し」になっていました。
パーソンズ氏らは、実際に野良猫がネズミ対策に効果的なのか、追跡用マイクロチップやカメラを使って79日にわたってニューヨークで調査を実施。調査期間中、306件の映像が記録され、調査地域には5匹の野良猫がいることがわかりました。野良猫はときにはネズミの巣に頭を突っ込むこともあったそうですが、79日間の調査の中で、猫がネズミの後をつけるような姿が見られたのは20回。捕食しようとしたのは3回で、捕食成功は2回でした。
パーソンズ氏らは、巣に依然として数多くのネズミがいることを確認。猫の脅威があったとしても、ネズミは移動ルートを変えるだけで、個体数を維持していくと考えられると述べています。
by Mert Guller
ちなみに、猫が得意とする獲物は「無防備な獲物」であり、大きいものだと体重300gにも及ぶ都市部のネズミは相手にしないと考えられているとのこと。巨大ネズミの駆除をメインで考えるなら、猫以外の手段を考えた方がよさそうです。
・関連記事
人間に見られまくった野生のネズミは見た目が大きく変化すると判明 - GIGAZINE
人類を危機に陥れた14世紀の「黒死病」大流行についてネズミに罪はなかった - GIGAZINE
ネズミも溶かしてしまう肉食っぷり、フィリピンで発見された巨大食虫植物 - GIGAZINE
ネズミvsコンピューターvsサイボーグネズミで迷路対決を行った結果は? - GIGAZINE
・関連コンテンツ