ネズミvsコンピューターvsサイボーグネズミで迷路対決を行った結果は?
by Sasha the Okay Photographer
生物と機械の知能を1つに合わせるとどのような変化が起きるのかを確かめるべく、中国・浙江大学の研究チームが「ネズミ」「コンピューター」「コンピューターを利用したネズミ(サイボーグネズミ)」の3種類に迷路を解かせるという実験を行いました。
PLOS ONE: Intelligence-Augmented Rat Cyborgs in Maze Solving
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0147754
Rats vs. computers vs. rat cyborgs in maze navigation | KurzweilAI
http://www.kurzweilai.net/rats-vs-computers-vs-rat-cyborgs-in-maze-navigation
研究者らは、機械と生物とを神経インターフェイスで接続し、機械と生物の認知能力を組み合わせることで能力はより拡張されるのではないかと考えて、サイボーグネズミを作りました。この研究は国家重点基礎研究発展計画(973計画)や浙江省国家自然科学基金委員会、国家教育部新世紀優秀人材支持計画のサポートを受けています。
迷路の模式図はこのような感じで、大きさは10マス×10マス、スタート地点は上から見たとき左下のマス(S)、ゴール地点は右上のマス(G)で、水とゴールを示すにおいのもとが設置されています。
サイボーグではないネズミは6匹用意され、1週間前からいろいろな迷路でトレーニングを重ねました。
コンピューターの迷路解法アルゴリズムは「右手法」「左手法」と呼ばれる、スタート地点からいずれかの壁に沿って進み続ける方法が使用されました。
サイボーグネズミは、ネズミの移動をコンピューターが追跡して迷路の情報を分析し、ループや行き止まりに陥りそうになったら分岐点で進路修正が指示されます。
この挑戦の結果、最も少ないステップ数でゴールにたどり着けたのはサイボーグネズミでした。
下はサイボーグネズミによる迷路解法の一例。赤い×印は「通過済みで、もう一度通過する必要がない場所」、ピンクの斜線は「未通過だが行き止まりかループで行く必要のない場所」を示しています。gは未知の領域への侵入ポイントを示し、薄赤い領域は未探索の場所。そして青い大きな点はネズミの誘導ルートを示します。
(a)の場合、スタート地点から他にそれることなく現在地まで移動しています。ここで、迷路の横幅分だけ移動したため、ゴール(右上)に到達するためには今来た道を戻って、青く塗りつぶされたルートに入る必要があることがわかりました。
一方、(b)はまだまだ探索途中ですが、すでに今いるエリアの左側には行く必要がないことがわかっています。
この能力は、複雑な地形での捜索・救出作業などに役立つのではないかと研究者らは語っています。
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