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リンク税を課す改正著作権法指令案が承認されるのを防ぐにはどうすればいいのか?

by Matt May

EUの改正著作権法指令案は、リンクを貼るだけで著作権料が発生する第11条(リンク税)に加え、著作権フィルターを設ける義務をSNSなどのコンテンツプラットフォームに課す第13条など、厳格な著作権保護を義務づけるものです。ついに最終文書の合意に向けた交渉が終了し、実際の承認へ向けた投票が行われることになりました。

Julia Reda – Breaking: The text of Article 13 and the EU Copyright Directive has just been finalised
https://juliareda.eu/2019/02/eu-copyright-final-text/

あまりにも厳格な著作権保護を義務づけるEUの改正著作権法指令案は、「インターネットを破壊する」「企業に魔法の杖を生み出すことを強いている」といった多くの反対を受けています。それにも関わらず、欧州議会欧州評議会は改正著作権法指令案の最終文書に合意し、ついに承認へ向けた最終投票が行われる見込みとなりました。

第11条は、検索エンジンやニュースアグリゲーターなどのウェブサイトが、ニュース記事を「単一の単語」あるいは「非常に短い抜粋」以上に引用してURLを紹介することに対するライセンス料について定めています。これは個人や中小企業、スタートアップによって運営されるウェブサイトでも同様であり、Googleは欧州からのGoogleニュース撤退を示唆しているほか、現在検討されている条文で改正著作権法指令案第11条が発効した場合、ニュースサイトへのトラフィックが少なくとも45%減少するとの分析も出ています。

まだ、第13条はコンテンツプラットフォームに対してアップロードフィルターを導入して著作権侵害を未然に防ぐか、ユーザーがアップロードする可能性がある世界中の全ての著作権で保護されたコンテンツのライセンスを購入する「最大限の努力」を課すものです。プラットフォームが努力義務を十分に果たしていないと判断された場合、著作権侵害の責任はプラットフォーム側にあるとされます。しかし、「企業が魔法の杖を生み出すことを強いている」という批判もなされるなど、賛成する議員たちは技術的問題について全く認知していないと非難されています。

EUの改正著作権指令案は「企業が魔法の杖を生み出すことを強いている」という指摘 - GIGAZINE


ドイツの政治家であり欧州議会議員でもあるJulia Reda氏も改正著作権法指令案に強く反対する人物の一人であり、改正著作権法指令案によって言論の自由が制限される危険性を指摘しています。しかし、Reda氏は「まだ改正著作権法指令案の承認をストップすることができる」と主張しており、最終文書の合意の後で行われる投票が最後のチャンスだと述べました。

まず、欧州議会は改正著作権法指令案の最終文書について、2月18日に行われる法務委員会での承認を得ます。その後でEU加盟国政府による投票が欧州評議会で行われ、ここで少なくとも13の加盟国政府が反対を表明するか、反対した加盟国の人口が加盟国全体の人口のうち35%以上占めた場合、この時点で改正著作権法指令案を阻止することが可能。前回の欧州評議会では8カ国が改正著作権法指令案に反対し、人口比は27%でした。今後、ドイツやほかの小国が反対に回る可能性もありますが、加盟国政府によって改正著作権法指令案が阻止される可能性はそれほど高くないとのこと。


Reda氏が最も期待しているのは、751人の全欧州議会議員で行われる最終投票です。2019年3月25日から28日と、2019年4月4日あるいは4月15日から18日に開かれる最終投票で、半数以上の議員が反対を表明すれば改正著作権法指令案は第11条および第13条を含めた状態で通過することはありません。実際に2018年7月に行われた投票では、反対多数で否決することに成功しています。否決された場合は改正著作権法指令案を全廃するか、問題となっている第11条および第13条なしで通過させるか、2019年5月に行われる欧州議会議員選挙の後まで棚上げにするかといった選択が行われます。

欧州議会議員による最終投票は、2019年5月の欧州議会議員選挙のわずか数週間前に行われることになり、Reda氏は「全ての議員および党が再選を求めているでしょう」と述べています。欧州議会議員選挙は直接選挙によって選出されるため、有権者が第11条および第13条に反対する意思表明をすれば、再選を求める議員らが有権者の意思を反映して反対に回る可能性が高くなるとReda氏は主張しました。

by Element5 Digital

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in メモ, Posted by log1h_ik

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