シロクマ50頭以上が押し寄せて町がパニックに、衝撃のムービーが公開
北極海に浮かぶロシア連邦領の列島・ノヴァヤゼムリャに、大量のホッキョクグマが現れたことが報じられました。住民はホッキョクグマを恐れて外出しづらい状況が続き、ノヴァヤゼムリャが緊急事態を宣言する事態に発展しています。
TASS: Emergencies - Emergency declared in Novaya Zemlya archipelago over polar bear ‘invasion’
http://tass.com/emergencies/1043985
Polar bears 'invade' town in Russia's Novaya Zemlya archipelago, driven by climate change - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/nation/2019/02/11/mass-invasion-polar-bears-is-terrorizing-an-island-town-climate-change-is-blame/
Russian Town Chases Out Rowdy Polar Bear Invaders
https://themoscowtimes.com/news/russian-town-chases-out-rowdy-polar-bear-invaders-64454
ホッキョクグマは2018年12月頃からノヴァヤゼムリャの町に出没するようになり、ノヴァヤゼムリャの中心都市であるベルーシャ・グバの近辺にも多くのホッキョクグマが集まっているとのこと。少なくとも52頭のホッキョクグマがベルージャ・グバの付近で確認され、時には攻撃的な様子を見せたり住居へ侵入するなどの被害が相次いだため、ノヴァヤゼムリャは2019年2月9日に非常事態を宣言しました。
常に6~10頭のホッキョクグマが人々の居住地付近をうろついているため、ノヴァヤゼムリャの居住者はホッキョクグマを恐れて外出できない状況が続いています。また、親たちは子どもを学校や幼稚園へ通わせることにも不安を抱いており、住民の日常生活が破綻しているとのこと。ホッキョクグマ対策として幼稚園などの周囲に柵を作ったり、軍人による巡回を行ったりといった対策も行われましたが、ホッキョクグマは人間に慣れており、クマを追い払うための信号やパトロールカーを見て逃げることもないそうです。
ノヴァヤゼムリャの首長であるZhigansha Musin氏は、「私は1983年からノヴァヤゼムリャに住んでいますが、こんなに多くのホッキョクグマが現れたのは初めてです」と話しました。SNSにはノヴァヤゼムリャに現れたホッキョクグマが住居の中に侵入したり、ゴミをあさったりする様子を撮影したムービーが多数投稿されています。
В России ввели режим ЧС из-за нашествия белых медведей
大量のホッキョクグマの群れは……
ゴミの放置された土地をゆっくりと歩いています。
氷の上にいるイメージの強いホッキョクグマが、人間が捨てたゴミのすぐ近くを歩いているのは妙な感じです。
車のすぐそばまで近づくホッキョクグマもいて、人間を恐れるような雰囲気は全くありません。
群れは次第にバラバラになり、各自でゴミあさりを始めた様子。
地面に顔を近づけて、エサを探しているようです。
エサが見つかったのか、大量のホッキョクグマが一箇所のゴミ山をあさっています。
ほかにも、多くのムービーや写真をインターネット上で確認できます。
建物の中に入ってきたホッキョクグマ。
廊下の奥へ進んだ後……
再び入り口近くへ戻ってきました。
何かを物色しているような素振りも見せています。
また、ホッキョクグマの群れがゴミをあさっているムービーも投稿されていました。
ゴミをあさっている大量のホッキョクグマ。
一匹の小さなホッキョクグマが不思議そうにカメラを見ています。
集落まで南下してきたホッキョクグマには、しっかりと処理されていない人間のゴミが魅力的に見える様子。
また、うっかり飼い犬がホッキョクグマと遭遇してしまったシーンを撮影した人や……
ホッキョクグマが建物に侵入した瞬間に運悪く居合わせてしまった人の写真も投稿されています。
Musin氏はロシア連邦天然資源監督庁がホッキョクグマを沈静化させ、従来の生息域へ送り届けるための専門チームを派遣していると述べました。専門チームはホッキョクグマを殺害することなく、眠らせてから移動させるとしています。
しかし、国際的自然保護団体である世界自然保護基金(WWF)の専門家であるMikhail Stishov氏は、「ホッキョクグマを20~30km程度移動させただけでは、再びノヴァヤゼムリャに戻ってくるでしょう。少なくとも飛行機で2、3時間は運ぶ必要があります」と述べ、50頭全てのホッキョクグマを移動させるのは非常に困難だと指摘。しかし、もしホッキョクグマの群のリーダーを特定し、町から遠い場所まで連れ出すことができれば、計画が成功するかもしれないとも話しました。
急速な地球温暖化によって生息環境が悪化し、ホッキョクグマは十分なエサが取れずに飢餓状態に陥ることもあるとのこと。NASAが発表したモデルによると、北極の氷は10年間で13%も減少しており、ホッキョクグマを取り巻く環境は非常に厳しいものになっているとされています。
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