サイエンス

大量の「氷の卵」が海岸に打ち上げられた理由とは?


自然界において氷は時に人間の予想を超えた形になることがあり、老人の白髪のような氷や川の中で回転する円形の氷などが発見されたケースがあります。アマチュア写真家のRisto Mattilaさんは、フィンランド・ハイルオト島の海岸を散歩していたところ、大量の「卵のような球形をした氷の塊」が打ち上げられているのを発見しました。

Hundreds of Mysterious 'Ice Eggs' Have Washed Up on a Finland Beach
https://www.sciencealert.com/hundreds-of-rare-ice-eggs-washed-up-on-a-finland-beach-thanks-to-weird-weather

Mattilaさんは2019年11月3日の朝、妻と一緒にハイルオト島のマルヤニエミ海岸まで散歩していたとのこと。その日は天気がよく、気温は-1度ほどであり、風が強かったとMattilaさんは述べています。そして海岸に辿り着くと、Mattilaさんは海岸線沿いの砂浜に大量の「氷の卵」が打ち上げられているのを発見しました。

実際にMattilaさんが撮影した氷の卵がこれ。氷の色は白いものから不純物が混じったのか茶色や黒っぽいものまでさまざまで、中にはラグビーボールのようにだ円形をしたものもあるようです。

この投稿をInstagramで見る

Snow ball sea. Lumipallomeri. 3.11.2019, Hailuoto, Marjaniemi, Finland. #sea #meri #hailuoto #marjaniemi #ylesaa #mtvsaa #yleluonto #uusiluontokuva #ig_finland #igscandinavia #olympussuomi #finland_photolovers #finland_frames #beautiofsuomi #ig_naturelovers #naturephotography #natureperfection #top_world_nature #suomenluonto #thebestoffinland #forecasuomi #pohjoisenluontokuvaajat #thisisfinland

Risto Mattila(@rismatti)がシェアした投稿 -


氷の卵はおよそ30mにわたって海岸を埋め尽くしていたそうで、一つ一つの大きさはゴルフボールサイズからサッカーボールサイズまでさまざまだったとのこと。Mattilaさんは25年間ほど付近に住んでいるそうですが、これまでの人生でこうした氷の卵を見たことはないと述べています。

また、Mattilaさんと同じ地元に住むRitva Rundgrenさんが撮影したムービーも、Twitter上で公開されています。

ICE BALLS cover Beach in Finland!!!! ????????

Permission: Ritva Rundgren
Hailuoto, Finland - Bothnian Sea@WeatherBug - Download the weather app today! pic.twitter.com/F9fe1K8tcd

— Live Storm Chasers (@Livestormchaser)


Rundgrenさんが歩く足元を、氷の卵が埋め尽くしています。


海岸沿いに打ち上げられた氷の卵が積み重なって凍り、壁のようになった場所もみられます。


視線を壁の内側に向けると、さらに大量の氷の卵がありました。


サイエンス系メディアのScienceAlertによると、氷の卵が自然に形成されるためには、「ほぼ完璧な気象条件のセットが必要」だそうです。氷の卵が作られるのに必要な気象条件とは、暖かすぎず、かといって寒すぎず、風が強すぎるわけでも無風なわけでもないという、非常に繊細な条件。また、氷の元となる水は比較的穏やかで、氷になるのに十分なほど水温が低いことも重要です。

こうした条件の中、水の中に小さな砂粒や氷の結晶などが浮かんでいると、周囲の水が粒子に集まって氷を形成します。これが次第に成長して大きくなっていき、海岸に打ち上げられた後も適切な風に吹かれて転がされ続けた結果、丸く卵のような形状になったとのこと。このプロセスは、嵐の中で吹き上げられた氷の粒子が次第に成長し、ある程度大きくなるとひょうとして地上へ降り注ぐのと似ています。

過去にも別の場所で、似たような氷の卵が発見されたケースがあります。たとえば以下のムービーは、アメリカのミシガン湖で発見された氷の卵を撮影したもの。今回Mattilaさんが発見したものと比べると比較的大きく、角がごつごつしているように見えます。

Ice Balls forming along Lake Michigan near Glen Arbor - YouTube

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
まるで老人の白髪のような氷が作られる奇妙な現象はなぜ起こるのか? - GIGAZINE

シベリアの淡水湖でうち寄せる波がそのまま凍り付く様子 - GIGAZINE

川の中でくるくると回転する謎の円形の氷 - GIGAZINE

グリーンランドの氷河で巨大な塊が分離して海に流れ出す瞬間が激写される - GIGAZINE

1万年前の氷をレンズにしてカメラを作った猛者が登場、実際に撮影できるのはわずか1分間のみ - GIGAZINE

まるで「豆腐」のように真四角な氷山は複数存在していることがNASAの調査で明らかに - GIGAZINE

凍りついた湖に真っ赤に熱した20kgの鋼塊を置くと何が起きるのか? - GIGAZINE

アイスランドにある氷の洞窟・スーパーブルーはまるでLEDのような青い輝き - GIGAZINE

in サイエンス,   動画, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.