飛行機の搭乗を待つ長い行列をより効率的に消化するための現実的な方法とは?
by Cheng-en Cheng
飛行機は電車よりも出入り口が少ない上に通路も狭いため、搭乗を待つ行列は長くなりがちで、案内が始まってから実際に席へ着くまで膨大な時間を要することがよくあります。日常のさまざまな疑問に答えるチャンネル「CGP Grey」が、どうすればもっと効率的に飛行機に搭乗することができるのか、その方法を紹介しています。
The Better Boarding Method Airlines Won't Use - YouTube
空港で飛行機の搭乗ゲートには、いつも長い行列ができます。
一般的に飛行機の搭乗口は前方の1~2箇所だけで、全ての搭乗客はここから出入りすることになります。
そして、一般的に搭乗席はいくつかのブロックに分けられ、後ろにあるブロックから案内が始まります。以下の画像であれば、数字の若い席のブロックから搭乗の案内が開始します。
しかし、この乗り方には致命的な問題があります。先頭の人が自分の席の列に到着するまではスムーズなのですが……
手荷物の収納という問題がスムーズな列の消化を邪魔します。
次の客がもっと奥の席に座りたい場合、前の客が荷物を収納し終わらない限り、何もすることができません。
この「手荷物問題」は列の途中でたびたび発生します。
後ろから前に向かって搭乗の案内をするには、この手荷物問題をどうにかしない限り膨大な時間が無駄になるといえます。
複数人の客が同時に荷物を収納する工夫などを取り入れて、荷物の収納を客の搭乗を促す「水平の動き」と荷物を入れる「垂直の動き」を分けて考えることで、このロスは少しマシになります。
ただし、収納した手荷物からタブレットやPCを取りだそうとする客が出てくると、結局混雑は解消されません。
では逆に、前から後ろに向かって座るのはどうでしょうか?実際に、搭乗案内では一部の客を前から乗せることがあります。
「なぜ航空会社は搭乗客の行列を早く処理する方法を導入しないのか?」という疑問に対する答えがここにあります。
それは「経済的インセンティブ」を作るためです。より高い搭乗券を購入したファーストクラスの搭乗客や航空会社の常連である上級会員客は、一足早く前の特別シートに案内されます。
では搭乗客が一斉に順番を無視して乗り込む「ランダム」で搭乗するとどうなるのでしょうか?
みんなが席の順番を気にせず一斉に飛行機に乗ってしまうと、しっちゃかめっちゃかになって余計に時間がかかりそうなものですが……
実は「後ろから前へ順番に乗る」よりもランダムに乗り込む方が搭乗時間は短くなるというデータが存在します。ただし、これは乗客のストレスが高まる可能性が高いやり方でもあるため、もろ刃の剣というわけ。
さらに別の搭乗方法として、「窓から通路へ」という方法があります。席の前後は気にせず、窓際の席から案内していくことで、席と席の狭い間を人が通り抜けるという面倒な混雑が解消されます。
しかし、実際にこれをシミュレートするとどうなるかというと、実は「ランダム」とそれほど搭乗時間は変わりません。しかし、これまでの方法の中では最も早い方法であるため、一部の航空会社でも「窓から通路へ」を採用しているところがあるとのこと。
では、最も効率のよい搭乗方法とは何なのでしょうか?ムービーではその方法を「完全版ステファン法」と名付けて紹介しています。その乗り方とは、窓から通路にかけて、1列を飛ばしで交互に座るというもの。
席に搭乗する順番を振ると以下のような感じ。こうすれば、理論的にはめちゃくちゃ効率よく搭乗できます。
しかし、理論的に最も効率的だとしても、この「完全版ステファン法」はまったく現実的ではありません。なぜなら、この順番に客を完璧に誘導しなければならないからです。人間はそれほど簡単に他人の指示に従うものではありません。
そこで紹介されるのが「修正版ステファン法」です。この方法が「完全版ステファン法」を除けば一番効率がよい方法だとCGP Greyは主張しています。
「修正版ステファン法」とは、以下の図のように席を左右と列に応じて4つのグループに分け、搭乗客を案内するというもの。
この方法が現実的で、かつ最も効率の良い搭乗方法だとCGP Greyは論じています。
「もしかしたら、いずれどこかの航空会社が『修正版ステファン法』を現実に採用するかもしれません」と締めくくられていますが、ぜひ航空会社には前向きに検討して欲しいところです。
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