シャンパンの泡からどれだけ砂糖が含まれているのかがわかる

by Joonas kääriäinen

シャンパーニュ地方特産のスパークリングワイン、シャンパンは製造の過程で白ワインに砂糖と酵母が加えられます。「砂糖を加える」と聞くと安物のワインの製造方法にも聞こえますが、これが由緒正しき作り方であり、シャンパン作りの核となる部分とのこと。シャンパン作りの科学がイギリスのニュースメディアBBCで語られています。

BBC - Future - The chemistry that gives champagne its famous fizz
http://www.bbc.com/future/story/20181217-the-chemistry-that-gives-champagne-its-famous-fizz

フランスにあるランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学の物理学者であるGerard Liger-Belair氏は、シャンパンの泡について研究を続ける人物。Liger-Belair氏によると、シャンパンに含まれる泡の数や大きさと、シャンパンに含まれる砂糖の量には直接的な相関関係があるとのこと。微生物が糖を分解し二酸化炭素を放出することで、シャンパンの特徴であるシュワッとした泡が作り出されるため、砂糖の量が多いと微生物が分解するエネルギー量が多くなり、より多くの泡が発生して泡のサイズも大きくなるといいます。

厳密にいうと、シャンパンのボトル内に泡はなく、開栓による減圧でワインからガス分子の固まりとして泡が現れます。またシャンパングラスについた傷や、ほこりと接触しても泡は多く作られます。

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ワインに加えられた酵母はシャンパンが完成するまでにほとんどが死にますが、その残余物が残るため、シャンパン作りではこれを取り除く必要があります。澱(おり)と呼ばれる沈殿物を取り除くために、シャンパンメーカーはまずボトルの先端を下に向けて、ボトルを回転させながら角度のある棚に保存します。こうすることで澱はボトルの首の部分にたまり、最終的にボトルの首が0度以下の冷たい塩水につけられることで、澱は凝固します。この状態で栓を抜き、内部のガス圧で澱の塊を飛び出させることで澱を除去するわけです。そして、目減りしたシャンパンを補うために砂糖やシャンパンを加えるのですが、この量でシャンパンの甘口・辛口が決まります。「ドサージュ」と呼ばれるこのプロセスが終わった後にコルクが詰められるとのこと。

澱を取り除き砂糖が加えられると、シャンパンのボトル内では熟成とともにメイラード反応が起こります。メイラード反応によりシャンパンにはビスケットやトーストのようなフレーバーが生まれるとのことで、通常シャンパンは詰められてすぐに販売されますが、このフレーバーのために1年熟成させる価値はあるとワイン評論家のPeter Liem氏は語っています。

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Liger-Belair氏は泡を損なわずにシャンパンをどのくらい長期熟成させることが可能かを研究しています。Liger-Belair氏によると数十年熟成させたシャンパンは最高とのことですが、一方でコルクで長期間の密閉を行うことはできません。シャンパンを熟成させるとコルクの劣化で泡が失われてしまうためです。このためLiger-Belair氏の目下の課題は、コルクとボトル内部の動的環境を、数学モデルを使って改良することであるとのこと。

なお、シャンパンのボトル内にはおよそ5リットルの二酸化炭素が含まれており、シャンパンを開けて飲むときはコルクにねじる動きを加えると、泡が溢れずシャンパンを楽しめるのことです。

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