Googleが初のGDPR違反で60億円以上の罰金を科せられる
by Carlos Luna
GoogleがEUで2018年5月に施行された一般データ保護規則(GDPR)違反を理由に、フランス当局から5000万ユーロ(約62億円)の罰金を科せられることになりました。フランスのデータ保護機関が科す過去最高額の罰金となる見込みです。
The CNIL’s restricted committee imposes a financial penalty of 50 Million euros against GOOGLE LLC | CNIL
https://www.cnil.fr/en/cnils-restricted-committee-imposes-financial-penalty-50-million-euros-against-google-llc
BREAKING: CNIL fines Google € 50 Mio based on noyb complaint | noyb.eu
https://noyb.eu/news-update/
Googleに罰金を科したのはフランスのデータ保護機関CNIL。プライバシー保護を訴える非営利団体noybの訴えに基づいて始まった調査から、Googleの個人データの取り扱いに関する説明にGDPR違反を認め、罰金5000万ドル(約62億円)の支払を命じました。ちなみにnoybはGoogleのGDPR違反をGDPRが施行された2018年5月25日当日に訴えており、同時にFacebookならびに傘下のInstagram、WhatsAppもGDPR違反で訴えています。
GDPR: noyb.eufiled four complaints over"forced consent"against Google, Instagram, WhatsApp and Facebook
(PDFファイル)https://noyb.eu/wp-content/uploads/2018/05/pa_forcedconsent_en.pdf
GoogleがGDPR違反と指摘された違反の一つは、YouTube・GoogleマップなどのGoogleサービスで広告のパーソナライズに関する具体的なユーザーの同意を得ていないという点。Googleアカウントを作成するときにデフォルト状態ではパーソナライズ広告の表示がONになっているにもかかわらず、サインアップにおいてすべての利用規約に同意することを求めている行為がGDPRに違反しているとnoybは述べています。
Googleの対応についてnoybのマックス・シュレムス会長は、「GDPRが施行されてもなお、Googleのような大企業がGDPRを勝手に解釈し、表面的なサービス改善しか行っていないことがわかりました。そのような対応では十分でないということを当局が明確にすることは重要です」と述べ、Googleだけでなく多くの大企業がGDPR違反状態であると主張しています。なお、GDPRでは「全世界売り上げの4%か2000万ユーロのうち高い方を罰金の最高額にできる」と定められていることから、noybは「最大で37億ユーロ(約4600億円)の罰金が科せられるおそれがあった」と述べてGoogleをけん制しています。
Googleに対する決定は、GDPR違反としてアメリカの大手IT企業が科せられた初の罰金にしてCNILによる罰金の過去最高額になるとのこと。Googleは今回の決定に対してフランスの行政訴訟の終審を審理するConseil d'État(国務院)に不服申し立てができますが、「Googleは透明性と統制を高い基準で求める人たちの期待に応え、またGDPRの要件を満たせるよう、慎重に取り組んでいきます」と述べており、上訴して争うことなくサービス内容を見直す考えを明らかにしています。
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