MIDIが30年以上の時を経て「MIDI 2.0」にバージョンアップされることが決定
by Bru-nO
電子楽器の演奏データをデジタル転送するための国際規格である「MIDI」は、日本の音楽電子事業協会(AMEI)やアメリカに本拠を置く国際団体のMIDI Manufacturers Association(MMA)によって規格の標準化・普及が行われています。そんなMIDIのプロトコル発表から30年以上の時を経て、新たなバージョンアップが行われると発表されました。
The MIDI Manufacturers Association (MMA) and the Association of Music Electronics Industry (AMEI) announce MIDI 2.0™ Prototyping -
https://www.midi.org/articles-old/the-midi-manufacturers-association-mma-and-the-association-of-music-electronics-industry-amei-announce-midi-2-0tm-prototyping
NAMM 2019 – MIDI 2.0™ Prototyping Announced – yamahamusicians.com
https://yamahamusicians.com/namm-2019-midi-2-0-prototyping-announced/
MIDIの規格化がスタートしたのは1980年代初頭であり、プロトコルは1983年、アメリカで行われた世界最大規模の楽器ショー「NAMM Show」で発表されました。MIDIの誕生によって音楽制作の世界は大きく変わり、ミュージックシーケンサーやソフトウェア・シンセサイザーといった新たな音楽制作ツールの可能性が切り開かれたとのこと。
その後1980年代を通して国際規格となっていきましたが、長らく規格そのもののバージョンアップは行われてきませんでした。しかしAMEIとMMAは2019年1月、MIDIの次世代プロトコルである「MIDI 2.0」のコア機能と名称を決定したと発表しました。
プロジェクトに参加している企業は「Ableton/Cycling' 74」「Art+Logic」「Bome Software」「Google」「imitone」「Native Instruments」「ローランド」「ROLI」「Steinberg」「ouchKeys」「ヤマハ」など、国内外の楽器メーカーやソフトウェア企業です。記事作成時点では参加企業がプロトタイプの開発を進めている最中であり、メンバー企業だけが参加可能な互換性や接続性の検証を行うイベントが、2019年のNAMM Showで行われているとのこと。
by David Bartus
AMEIとMMAはプロトタイプの開発に関して密接なコード共有を行い、開発の合理化を進めているとしています。プロトタイプの段階ではAMEIとMMAのメンバーのみがMIDI 2.0を使用することができ、プロトタイピングプロセスの中で仕様がさらに強化される可能性もあるそうです。
MIDI 2.0では下位互換性を優先しつつ、新たな作曲ソフトウェアやウェブとの統合、解像度の拡張、表現力の向上、タイムコントロールの厳格化といったアップデートが行われるとのこと。MIDI 2.0は既存の数百万ともいわれるMIDI 1.0デバイスとの互換性を保ちつつも、新世代のMIDIデバイスへの道を切り開くとしています。
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