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38年ぶりにバージョンアップした「MIDI 2.0」によって音楽制作はどう変わるのか?

by BrianAJackson

電子楽器や演奏データをデジタル送信するための国際規格「MIDI」がMIDI Manufacturers Association(MMA)によって「MIDI 2.0」にバージョンアップすることが2019年1月18日に発表されました。MIDIの規格がバージョンアップしたのは38年ぶりだとして大きな話題を呼びましたが、2020年に入りMIDI 2.0対応デバイスが発表されだしたということで、「実際のところMIDI 2.0で何が変わるのか?」が解説されています。

What Will MIDI 2.0 Mean for Musicians? | Reverbニュース
https://reverb.com/news/what-will-midi-2-dot-0-mean-for-musicians

MIDIの規格化がスタートしたのは1980年代初頭であり、プロトコルが発表されたのは1983年。そこから30年あまりの中でMIDIと互換性を持つ楽器やソフトウェアは大きく進化しましたが、MIDI 1.0自体は変わっておらず、使用できるチャンネル数は16個、低レゾリューションやタイミングのずれ、データの流れが一方向であるなどの問題を抱えていました。


MIDI 2.0が発表されてから1年がたった2020年1月、電子ピアノやシンセサイザーなどを扱うRolandはMIDI 2.0対応キーボードコントローラーである「A-88MKII」を発表。他のブランドも間もなくMIDI 2.0を採用したアイテムを発表するものとみられています。

Roland - A-88MKII | MIDI Keyboard Controller
https://www.roland.com/jp/products/a-88mk2/


一方で、細かなスペックについてはMMAや音楽電子事業協会(AMEI)によって批准されていないため、詳細については不明となっています。そこでビンテージ音楽機器のオンラインショップであるReverbがソフトウェアエンジニアのブルット・ポーター氏とRolandの水本浩一氏に「MIDI 2.0」によって何が変わるのかを聞いています。

◆MIDI 2.0のポイントとは?
まず重要な点として、「MIDI 2.0が登場したからといってMIDI 1.0が使えなくなることはない」ということ。MIDI 2.0は後方互換性があるため、MIDI 2.0に対応したデバイスであってもMIDI 1.0のデータを送ることは可能です。また、MIDI 1.0とMIDI 2.0のハイブリッドの機器をセットアップすることも可能とのこと。

MIDI 1.0が今後も使えるのであれば、MIDI 2.0は不要なのではないか?と思いがちですが、MIDI 2.0にはMIDI 1.0の制限をなくし、レゾリューションや応答性を向上させ、タイミングの問題を解決したという大きな利点があります。

人々が「何とかしてほしい」と願ってきたMIDI 1.0の二大問題のうち1つは「タイミング」について。電子ドラム「V-drum」をたたくとき、できるだけ正確に、迅速に音を出したいのに遅れが生じてしまうという問題はMIDIシステムの「よくある話」でした。また初期のハードウェアは1980年代に開発されたため、当初、5ピンDINケーブルは低速ビットレートにしか対応できず、プロセッサも高レゾリューションのデータを扱えませんでした。プロセッサーが進化し、5ピン以上の接続も可能となりましたが、それでもプロトコル自体は時代遅れのテクノロジーによって形作られているというのが2つ目の問題です。

by NomadSoul1

ポーター氏によると、MIDI 1.0デバイス搭載のコントローラーは従来7bitしか割り当てられなかったため0~127までの128段階でしか値を送信できませんでしたが、MIDI 2.0は6万5536段階となるとのこと。またピッチベントは32bit化し、より高レゾリューションになります。これにより、アナログコントローラーとほぼ同レベルで、デジタルでもより表現力豊かな音の調整が可能になると考えられています。「これは非常に大きな変化です。パフォーマンスはより流動的に、表現豊かになります」とポーター氏。

◆MIDI 2.0によって音楽はどう変わるのか?
MMAは「MIDI 2.0プロトコル」という言葉と、「Universal MIDI Packet」(ユニバーサルMIDIパケット)という形のデータフォーマットや機能拡張の仕組み「MIDI-CI」などを含めた「MIDI 2.0の拡張環境」を分けて使っているのもポイント。これは、MIDI 2.0プロトコルがメッセージを送受信するより優れた方法と組み合わされていることを意味しているとのこと。たとえばユニバーサルMIDIパケットはMIDI 1.0の16チャンネルをMIDI 2.0の256チャンネルに拡張します。またデバイスを接続するとすぐにMIDI-CIがどの機材がMIDI 1.0あるいはMIDI 2.0を備えているかを自動で検知して、それにあわせた送受信を可能にするという「マッピング」を行うとのこと。これによってワークフローが大幅に改善される見込みです。

MIDI 2.0には流動性やより自然なピッチのシフトなど、パフォーマンスの向上が多く見られますが、「1つのコントローラーと1つのDAW」というシンプルな環境で音楽を制作している場合でも音楽の品質を向上させると水本氏は述べています。

by karandaev

EastWestなどにあるオーケストラのライブラリを使うプロの作曲家が楽譜を作ったり編曲を行ったりするとき、MIDI 2.0があればMIDI 1.0よりも容易かつ正確にアーティキュレーションなどを作り出すことが可能。「多くのDAWがノートごとの制御をサポートしているのは事実ですが、これを規格の一部とすることで、将来的にはハードウェアや楽器、コントローラーも同様のアーティキュレーションを提供するようになる可能性があります」と水本氏は付け加えました。

一方で、将来的に複数のハードウェアが同時に自由に通信できる可能性はあるか?という問いについては、「MIDI 2.0は基本的にイニシエーターとレスポンダーが1対1で接続することを前提としています。将来的なMIDIインターフェースはDAWに対してレスポンダーや、接続された楽器に対するイニシエーターとして機能するかもしれません」と水本氏は述べました。

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in メモ, Posted by logq_fa

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