「仲間」や「つながり」を示す「アイコン」が情報共有を促す、「写真」ではダメ
by OpenClipart-Vectors
インターネットフォーラムが参加者を増やし、ユーザーの再訪を促すためには「他の人が参加していること」と「人とつながっていること」を示すアイコンが有効であると研究で示されました。特に、これまでフォーラムで語られることの少なかった経験を持ち、「コミュニティを作りたい」と望むグループにとっては、より強い影響力を持つそうです。
Subtle visual cues nudge users to reveal more in online forums | Penn State University
https://news.psu.edu/story/543000/2018/11/06/research/subtle-visual-cues-nudge-users-reveal-more-online-forums
ペンシルベニア州立大学ユニバーシティパーク校の研究チームが発見したのは、「仲間」や「群衆」を示す「人の集まり」のアイコンと、人のつながりを示す「ネットワーク」のアイコンをサイトに表示させると、サイトを訪れたユーザーはより情報を共有する傾向にあるということ。一方で、グループ写真や手をつないでいる写真などは、ユーザーの情報共有に影響を及ぼしませんでした。
実際に表示されたアイコンはこんな感じ。これらのアイコンは被験者に対してランダムに表示されました。
ニュージャージーで行われたCSCW 2018というカンファレンスで発表された報告によると、研究者たちはセクシャルヘルスのフォーラムを使ってアイコンのテストを行いました。セクシャルヘルスにおいて、人は自分の情報を他人と共有しない傾向にありますが、実際には情報を公開した方が多くの情報にアクセスでき、よりよい決断を下せると考えられています。
「軽んじられ、非難されてきたグループの人々にとって、個人的な情報を明かして話し合うことは難しいことです。しかし、人はいったん『他の人と自分は同じ船にのっている』あるいは『ネットワークでみんなとつながっている』と感じると、プライベートな情報を明かしたがり、フォーラムを再訪したがります」「私たちが発見したことは、グループにおける参加者を増やすための極めて基礎的な解決法です」と、ペンシルベニア州立大学の博士課程学生のAndrew Gambino氏は述べました。
この方法は、特に軽んじられ、非難された経験を持つ小さなグループにおいて特に有効とのこと。特に、コミュニティを作るために情報を共有しようとするサイトのユーザーたちは、「人の集まり」「人とのつながり」という2つのアイコンを見た時に非常にデリケートな情報を公開する傾向が高かったといいます。
by Westfrisco
具体的には、研究者はAmazon Mechanical Turkを使って集めた218人の被験者に対し、6種類のウェブサイトのうち1つをランダムに割り当てていきました。ウェブサイトは以下の6種類でした。
・「人の集まり」のアイコンがあるもの
・「人の集まり」のアイコンがないもの
・「人のつながり」のアイコンがあるもの
・「人のつながり」のアイコンがないもの
・コミュニティの写真があるもの
・コミュニティの写真がないもの
すべてのサイトに「自分のセクシュアリティを探索し、セクシュアルヘルスとウェルビーイングを学ぶことに興味のある人全てに開かれたコミュニティです」という説明があり、被験者はコミュニティへの参加が求められました。被験者は自分自身の性行動や健康についての情報共有を求められ、この情報は、自分に似た人をコミュニティで見つけてユーザーとつなげるのに使われると説明されました。
ユーザーは、全ての質問において「情報を公開しない」という選択肢を選ぶことができ、同時にいつでもウェブサイトを離れることができるとも示されていました。このような情報を公開する/非公開にするという選択肢は、現実世界のウェブやスマートフォンに近づけるために作られたそうです。
研究者は、このようなアイコンが結び付きの強いオンラインコミュニティを作り、コミュニティの参加者に個人情報を公開させると述べています。研究を行った一人であるS. Shyam Sundar氏は、「人々が情報を明かさなければフォーラムは価値を失い活気が失われる」として、この研究結果が「小さな変更がオンラインヘルスフォーラムのようなサイトの存続を手助けし、ユーザーをサポートすることを示す」と述べています。一方で、スパムサイトがこのような方法を利用すれば、サイトはユーザーのデリケートな情報を得ることができ、悪用される可能性もあるとのこと。
by nastya_gepp
なお、今回の研究は「ウェブサイト」に特化する形で行われましたが、研究者は今後、ソーシャルメディアのような他のタイプのメディアでも同様のことがいえるのかを調査する見込みです。
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