世界で初めてオークションにかけられたAI作の肖像画が5000万円で落札される
世界的に著名なオークションハウスに世界で初めて「AIが描いた絵画」が出品されました。当初は1万ドル(約110万円)程度での落札が予想されていたAI作の肖像画は、その40倍以上の43万2500ドル(約5000万円)で落札されたことが明らかになっています。
Portrait made by artificial intelligence sold for $432K at Christie's
https://www.cnbc.com/2018/10/25/portrait-made-by-artificial-intelligence-sold-for-432k-at-christies.html
Christie’s sells its first AI portrait for $432,500 - The Verge
https://www.theverge.com/2018/10/25/18023266/ai-art-portrait-christies-obvious-sold
AI技術の発展によって自動運転車や音声アシスタントや病気を見つけ出す医療技術など新しい製品やサービスが次々と生み出されています。まずエンジニアリングの世界で応用され出したAI技術を、アート(芸術)の世界に応用する試みとして、AIに絵画を描かせるという取り組みが行われています。
アーティスト集団のObviousがAIを活用した絵画を作成しました。ObviousでGerative Adversarial Network(GAN)という機械学習アルゴリズムに約1万5000枚の肖像画をデータセットに設定してトレーニングすることで、AIに肖像画を描かせたとのこと。
GAN AIによって生み出された「Edmond de Belamy」と名付けられた作品。
#AuctionUpdate The first AI artwork to be sold in a major auction achieves $432,500 after a bidding battle on the phones and via ChristiesLive https://t.co/XiDVxVGa1n pic.twitter.com/7dxirT55i8
— Christie's (@ChristiesInc) 2018年10月25日
なんと、サインとして「アルゴリズムに用いられた数式」が入れられたとのこと。
この作品はオークションハウスのChristie'sに出品されることになりました。Christie'sによると「世界で初めて主要なオークションハウスに出品されたAI作による肖像画」だとのこと。
世界初のAIアートの「Edmond de Belamy」の予想落札価格は7000ドル~1万ドル(約80万円から110万円)と見積もられていました。しかし、実際には43万2500ドル(約5000万円)という予想を大きく上回る高値で落札されることになりました。
AIによってアートを作り出す試みは、高い落札価格もあって大きな話題になっていますが、同時に作品の著作権についての議論も呼んでいます。一つは、AIに著作権を認めるかという議論です。経済的な著作権が認められることに異論はないとしても、著作者人格権など人間であることを前提とした権利をどこまで認めるかという点では意見が分かれそうです。
また、「Edmond de Belamy」を作り出すにあたってObviousが別のAIアーティストであるRobbie Barrat氏のコードを使っていたことも問題となっています。Robbie Barrat氏のコードはオープンライセンスとして公開されているため、オープンソースコードを用いて作成されたAI作品の完全な著作権を主張できるのかという問題が出てきています。
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