「ハゲ予防」が可能になるという研究結果登場、毛包に合成ビャクダンの匂いを嗅がせる
by Merlijn Hoek
毛根を包み混む毛包には匂いの分子を捉える嗅覚受容体があり、特定の匂いを毛包にかがせることによってハゲを予防可能であることが研究で示されました。
Hope for baldness cure as scientists trigger hair growth with chemical used in perfumes: 'A rather amazing finding' | The Independent
https://www.independent.co.uk/news/health/baldness-cure-hair-loss-treatment-sandalwood-perfume-sandalore-smell-a8543391.html
Hair Follicles Can 'Smell' Sandalwood, And It Could Be a Radical New Way to Treat Baldness
https://www.sciencealert.com/hair-follicles-can-smell-things-radical-new-way-treat-baldness-odorants-olfactory-receptors-or2at4
「良い匂い」と感じたり「臭い」と感じたりするのは空気中に含まれる「臭気物質」という分子を嗅覚受容体が捉え、信号を送って脳を活性化させるためです。「匂いを嗅ぐ」という行為を聞いて、空気を鼻から吸う様子を思い浮かべる人も多いはずですが、このような働きをするのは鼻だけではありません。
マンチェスター大学の皮膚科学者であるRalf Paus氏らの研究チームは人間の毛包も「OR2AT4」という嗅覚受容体を露出させていることを発表しました。OR2AT4は合成ビャクダンのような特定の分子に反応すると、髪の成長を刺激するとのこと。これは言い換えると、「毛包は匂いを嗅ぎ、正しい分子をかぎ分けることで髪の損失を防ぐことができる」ということになります。
by Oleg Magni
Paus氏は「これは驚くべきことです。人間の一般的で小さな器官が、シンプルかつ美容上よく使われてきた臭気物質で制御できます」と語っています。
OR2AT4が人の表皮に存在するケラチン生成細胞の分裂増殖を促進し傷の治療に役立つということは、これまでの研究で知られていました。そこで、Paus氏らは「OR2AT4が髪の成長をブーストさせるのではないか」と考えて研究をスタートさせたとのこと。
まず研究者は、フェイスリフトの手術で寄付された人の頭皮からサンプルを摂取し、研究室でサンプルをSandaloreのような合成ビャクダンの臭気物質と合わせました。
すると、合成ビャクダンの臭気物質の分子はOR2AT4と結び付き、髪の成長の鍵となる「IGF-1」という物質の発現や分泌を制御することが判明しました。なお、合成ビャクダンだけではなく、本物のビャクダンの臭気物質でも実験が行われましたが、本物のビャクダンでは同様の反応は見られなかったとのこと。
by Jayesh Patil
その後、研究者が「Phenirat」と呼ばれる化学物質を混ぜたところ、OR2AT4が髪の成長を妨害することが確認されました。このことから、OR2AT4はこれまで考えられてきたよりもずっと髪の成長に関わっていることが示されたとのこと。
この研究は合成ビャクダンを含む製品を扱う製薬会社の出資により行われました。記事作成時点では20人の女性を対象として小規模な実験が完了したところで、既存の製品の関係上、研究は「はげの治療」よりも「はげの防止」に焦点を当てた使われ方をするようです。
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