Googleのサンダー・ピチャイCEOが中国市場向けの検閲機能付きGoogle検索開発をついに認める
中国への再進出を狙うGoogleは、中国政府の意向に沿う形で検閲機能付きの検索エンジンを開発する「Project Dragonfly」を進行中だとみられていました。Googleのサンダー・ピチャイCEOがインタビューの中で初めて公式にDragonfly計画を認め、その意図についても明らかにしています。
Google’s CEO Says Tests of Censored Chinese Search Engine Turned Out Great | WIRED
https://www.wired.com/story/wired-25-sundar-pichai-china-censored-search-engine/
最初に「Dragonfly」の存在を報じたのはThe Interceptでした。
Googleが中国向けに検閲機能付きの検索エンジンを開発していたことが判明 - GIGAZINE
The Interceptの報道後、Google従業員から反対の声が挙がり、中にはGoogleを去る技術者が現れる事態になりました。
Google従業員が中国向けの検閲システム付きGoogle検索の開発に抗議している - GIGAZINE
さらに問題は大きくなり、アメリカのペンス副大統領からも「中国への進出計画を検討しなおすべき」というストップがかかりました。
Googleの中国向け検閲機能付き検索エンジン開発にアメリカ合衆国副大統領も待ったをかける - GIGAZINE
GoogleはDragonfly計画について明らかにしないため事態が大きくなり続けていましたが、WIREDの25周年を記念するイベント「WIRED25」内で、公開インタビューに応じたピチャイCEOがついにDragonfly計画の存在を公に認めました。
最初にAI技術に重点を置くGoogleの取り組みについて語るピチャイCEO。その後、テーマはアメリカ軍のドローン兵器向けのソフトウェア開発プロジェクト「Project Maven」に移り、従業員からの反発があったことに触れられたピチャイCEOは、「Googleの歴史では、従業員から多くの声が寄せられています。しかし、投票によって企業運営がされているわけではありません」と述べました。従業員の意見は尊重しつつも、企業運営においては反対の声を押し切るべき場合があるというわけです。
インタビューの15分過ぎから、いよいよ核心のDragonflyの話に。「Dragonflyが騒動になる中、中国への再進出について教えてほしい」というストレートな質問が出されました。
ピチャイCEOは、中国で検索エンジンを開発していることを認め「まだ初期段階にあり、実際に中国市場に再進出するかどうかは確定的ではない」と断ったうえで、「Googleはすべての人に情報を、情報へのアクセスを届けたい」という使命がある中で、世界人口の20%を占める中国市場の重要性を明確にしました。ピチャイCEOによると、中国では間違った医療情報やフェイクニュースが表示されてしまう状態であり、Googleの検索エンジンであれば99%以上の検索に対応できるため、Googleが再進出することによって、中国での検索サービスがより良くなると考えているとのこと。それと同時に「サービスは各国のルールに合わせて提供される」とも述べており、中国政府の方針である検閲への要求に応える必要があるとも説明しています。
ピチャイCEOは「中国で実際に検索サービスを行うかどうかはわからないが、調査することは重要だと考えた」と述べており、中国市場への再進出計画はいまだ検討段階であり、実際に再進出しない可能性もあることを強調しています。
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