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ゲームソフトのデータを店でカートリッジに書き込む「ゲームファクトリー」はニンテンドウパワー以前に始まり終わった


かつて任天堂がスーパーファミコンやゲームボーイのソフトを書き換えるサービス「ニンテンドウパワー」を提供していたことがありました。しかし、このニンテンドウパワーが始まるよりも前に、カートリッジ内のゲームを書き換えてレンタルするというサービスが存在しました。

BLOCKBUSTER PLANS TO CRANK OUT GAME RENTALS - Chicago Tribune
http://www.chicagotribune.com/news/ct-xpm-1994-09-30-9409300276-story.html


New Leaf Entertainment Sega Genesis Cartridge | Rare Video Games Auctions, Sales & Pricing
https://gamesniped.com/2011/10/12/new-leaf-entertainment-sega-genesis-cartridge/

このゲームの電子配信サービス「ゲームファクトリー」を提供していたのは、世界に最大9000店舗を展開していたレンタルビデオチェーン店のブロックバスターとIBMの合弁会社「New Leaf Entertainment」です。


「ゲームファクトリー」はまず10店舗でテスト運用が行われました。当時、人気のゲームソフトは店頭に並んで購入するもので、時には品切れで買えずに帰らなければいけないこともあったのですが、New Leaf Entertainmentはセガと協力し、それぞれのお店にジェネシス(メガドライブ海外版)の書き換え可能カートリッジを用意。その場で書き込んでもらえるので、人気ソフトであっても「在庫がないから手に入らない」ということはありませんでした。利用料は、近隣店舗のゲームレンタルが1泊2.5ドル(約250円)や2日で3ドル(約300円)だったのに対して、3泊で4ドル(約400円)でした。「人気タイトルでも確実に借りられる」ということを考えると、むしろお値打ちだったのかもしれません。

New Leaf Entertainmentが使っていたカートリッジはレンタル専用で一般販売されるようなものではなかったため非常に貴重で、海外のフォーラムでは、実物を入手した人の写真に多くのユーザーが興味を寄せている様子が確認できます。

Found! New Leaf Entertainment Blockbuster Sega Genesis Cartridge
http://www.sega-16.com/forum/showthread.php?30676-Found!-New-Leaf-Entertainment-Blockbuster-Sega-Genesis-Cartridge

セガ関連のフォーラム「SEGA-16」でSchiggidydさんが入手したと報告したカートリッジがコレ。フリーマーケットで、Atari 2600Atari 5200用カートリッジの箱に入っていたものを見つけたのだそうです。


貴重な内部写真も公開されています。


オンラインショッピングに関する情報を扱うサイト・RetailGeek.comを運営するジェイソン・ゴールドバーグ氏は「ゲームファクトリー」展開当時のブロックバスターに在籍していたとのことで、当時の思い出をサイトで公開しています。

Future of Retail (as seen in 1992) - retailgeek.com
https://retailgeek.com/future-of-retail-as-seen-in-1992/

ゴールドバーグ氏によれば、ブロックバスターが目指していたのは音楽のオンデマンド販売。しかも、当時、店頭でテープやCDを買うときには当たり前だった「アルバム単位」ではなく、現在の音楽配信サイトのように「楽曲単位」での販売をしようと考えていたそうです。しかし、そんなことを望むようなレコード会社はなく、計画は頓挫しました。

当時のプロモーション映像を、ゴールドバーグ氏がYouTubeで公開しています。題名には「1992」と書いてありますが、映像中に登場するアルバムのリリース時期から、1993年1月以降に作られたものであると考えられています。この映像は、すでに音楽配信は難しいと悟った後なのか、映像配信や、のちの「ゲームファクトリー」に繋がるようなゲーム配信についても触れられています。

New Leaf Entertainment: Blockbusters view of the future in 1992 - YouTube


なお、「ゲームファクトリー」は結局、テスト運用開始の翌年・1995年には終了。ちょうどブロックバスターは1994年にメディア企業のバイアコムの傘下となっていて、ゴールドバーグ氏は、バイアコムがNew Leaf Entertainmentの事業に興味を示さなかったことが原因であるように述べていますが、真相は不明。

その2年後、1997年に任天堂がゲームソフト書き換えサービス「ニンテンドウパワー」を開始することになります。

特集『とってもパワフル! NINTENDO POWER』
https://www.nintendo.co.jp/nom/9810/p03/page03.html


また、ブロックバスターがもともと狙っていた音楽配信は、爆発的なヒット商品となった「iPod」を背景にAppleが開始した「iTune Store」によって世界的に広がることになりました。

ちなみに、New Leaf Entertainmentはオンデマンド販売に関して特許を取っていたらしく、この特許がブロックバスター経由でデジタル・オン・デマンドという会社の手に渡り、現在も「RedDotNet」という名前でキオスク端末を販売するサービスが続いているそうです。公式サイトはページが消えていて見られませんが、以下のような端末を作っているようです。

RedDotNet Makes DS Kiosks for Retail Applications - YouTube

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in 動画,   ゲーム, Posted by logc_nt