トランプ政権の「入国制限」を受けてGoogleでは検索結果に手を加えるべきと声が挙がっていた
By Travis Wise
2017年1月に難民の受入やイスラム系の国からの入国を厳しく制限する大統領令にトランプ大統領が署名したことは、アメリカのみならず世界中から賛否の声が飛び交いました。そのタイミングにおいて、Googleの社内では「Google検索の結果に手を加えるべきでは」という意見が交わされていたことが明らかにされました。
Google Workers Discussed Tweaking Search Function to Counter Travel Ban - WSJ
https://www.wsj.com/articles/google-workers-discussed-tweaking-search-function-to-counter-travel-ban-1537488472
Google employees wanted to change search results after Trump travel ban
https://www.usatoday.com/story/tech/2018/09/20/google-employees-wanted-change-search-results-after-trump-travel-ban/1375163002/
この件を報じたWall Street Journal(WSJ)によると、Googleの社内では2017年1月、検索結果画面に「嫌イスラム的」なものや、ヒスパニック系に対する偏見などバイアスがかかった内容が表示されることを避けることを狙い、検索結果に手を入れることについての意見が交わされたとのこと。「嫌イスラム的」なものとしては「イスラム」「ムスリム」「イラン」などの用語で検索したときに表示されるもの、そしてヒスパニック系に対する偏見としては「メキシコ」「ヒスパニック」「ラティーノ」などの用語に対する検索結果であるとされています。
いわゆる「ヘイト」的な内容を検索結果から除外しようという動きだったわけですが、結果的にGoogleはこのアイデアを却下して検索結果の操作は全く行っていないとのこと。Googleの広報担当者はUSA Todayの取材に対し、「Googleは検索結果を操作したり、特定の政治的イデオロギーを宣伝するために自社の商品を変更したりしたことはありません。それは、現在においても、2016年の大統領選挙戦の時においても、また、トランプ大統領が入国制限を設けた後の混乱期においても同様です」と声明を発表しています。
Googleでは社員に対して社内で自分の考えを自由に述べることを推奨していますが、その余波として今回のように政治的にセンシティブな内容がニュースになってしまうことがあります。今回報じられた内容は、トランプ大統領が2017年1月27日に大統領に署名した2日後に交わされた社内メールの内容で、「ブレインストーミング」の一環として出されたアイデアだとのこと。
By I Am Sargant
また、その際には会社の幹部クラスの人物から会話の当事者に対し、注意を促す発言が投じられたともWSJは報じています。その人物は「これは非常に政治的な問題であるため、我が社はフェアかつバランスの取れた状態を保ち、事実を提供する必要がある」という内容を発信していたとのこと。
このやり取りが行われた後、まずは内容がオンライングループ上に公開され、それが外部に流出したというのが今回のいきさつです。この件に関しGoogleは、「当社の業務プロセスとポリシーにより、政治的イデオロギーを促進するために検索結果を操作することは許可されなかったでしょう」と、仮に結果の操作が議題に挙がったとしても採用されていた可能性は皆無に等しい状況だったと述べています。
一方、政策を進めているホワイトハウスからはコメントが得られなかったとのことです。
By U.S. Department of the Interior
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