うんちが詰まって腸が破裂してしまう病気「メガコロン」とは？

ひどい便秘に悩まされていた男性が、激しい腹痛と下痢によって緊急手術を受けたところ、糞便の詰まりすぎで大腸が破裂していたことが判明しました。手術を担当した医師は、「メガコロン(巨大結腸症)」による便秘と腸閉塞(へいそく)が原因だったと報告しています。

Bowel perforation in chronic idiopathic megarectum and megacolon -- Anyaegbuna et al. 2018 -- BMJ Case Reports
http://casereports.bmj.com/content/2018/bcr-2018-225406

Explosive case of poop-packed “megacolon” prompts warning from doctors | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2018/08/explosive-case-of-poop-packed-megacolon-prompts-warning-from-doctors/

以前から慢性的な便秘に悩まされていた24歳のイギリス人男性は、ある日突然の腹痛と下痢に襲われ、地元の病院の救急外来を訪れました。男性は、担当した医者によって下剤と浣腸(かんちょう)を処方してもらいましたが、それでも腹痛と下痢は一切治まらず、むしろ悪化したそうです。

2日後、再び病院を訪れた男性がレントゲン検査を受けたところ、男性の直腸とS状結腸に通常では考えられない量の糞便が詰まっていて、健康な成人の3倍以上に膨らんでいる様子が確認できました。さらに結腸の一部が破裂していることもわかったため、緊急手術が執り行われ、男性は結腸を切除されて一命をとりとめました。

担当した医者が調査したところ、男性の結腸を破裂に至らしめた慢性的な便秘は「特発性メガコロン」と呼ばれる病気が原因だったことがわかりました。

水分と栄養素の吸収を行う「大腸」は盲腸・結腸・直腸で構成されていて、排せつされるまでの間、便を貯留する消化器官です。男性が診断された「メガコロン(巨大結腸症)」とは、大腸の一部である結腸の拡張肥大が原因となって長期にわたる便秘を招き、腸閉塞や腸捻転を引き起こすという病気です。

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先天性メガコロンである「ヒルシュスプルング病」は生まれつき大腸の神経細胞がないことが原因で発症すると判明しています。一方で、後天性のメガコロンである「特発性メガコロン」は後天的なもので症例が少なく、なぜ起こるのかははっきりとわかっていません。日本で発表された論文によると、日本国内で報告された後天性メガコロンはわずか58例だそうです。

特発性メガコロンは薬による治療効果が薄く、外科手術による結腸の切除が最も良好な判断とされています。イギリス人男性の担当医師は「軽症であれば、下剤・浣腸の他、食習慣を健康的なものに変えることで改善することもありますが、それでも改善しない場合はやはり早期に外科療法を受けることが重要です」と述べています。