英語で書かれた最初の養蜂マニュアルに登場する蜂蜜ドリンクのレシピとは?
蜂蜜は殺菌作用があることでも知られており、古代ローマでは傷の手当てや医薬品の原材料として使用されていたことが記録に残っています。また、殺菌作用だけでなく消炎作用もあることから、現代でも風邪などで喉が炎症を起こしてしまったときに、蜂蜜を混ぜたドリンクを飲む人が多いものです。養蜂の研究を行っているイギリス人のマシュー・フィルポット氏によると、英語で書かれた最初の養蜂マニュアルには「蜂蜜ドリンクのレシピ」が記述されており、そのレシピには古代ローマで長生きするための飲み物として言及されたものもあるとのことです。
Recipes for honey-drinks in the first published English beekeeping manual | The Recipes Project
https://recipes.hypotheses.org/11019
ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスは貴族のプブリウス・ベディウス・ポッリオ氏に「長生きする方法はないか?」と尋ねたと言われています。質問に対してベディウス・ポッリオ氏は「ムーサの水を飲めば、病気から解放されるでしょう」とアウグストゥスに答えました。その後、アウグストゥスがムーサの水を飲んでいたかどうかについて言及されることはなく、そのレシピも明らかになっていませんでしたが、1568年になるとムーサの水に言及した書籍が登場しました。
それは、トーマス・ヒル氏によって書かれた「A Pleasant Instruction of the Perfect ordering of Bees(蜂を完全にコントロールする楽しい教科書)」です。この書籍は主に養蜂に関する内容を述べたものですが、この中にムーサの水が「呼吸を整え、食欲を改善するもの」として登場し、そのレシピが記述されていました。
レシピには「蜂蜜と水を1:8の分量で混ぜ合わせる。次に、火にかけて沸騰したら、泡をキレイにすくい取る。泡が全部なくなったら完成。あとは火を止めて保存する」と作り方が書かれており、「保存した『ムーサの水』は必要なときに飲むこと」とも記述されていました。ヒル氏は「ムーサの水を飲むことでヒヨスの中毒症状を治すことができる」としています。しかし、それ以外の詳細については特に言及しておらず、「ローマ時代にベディウス・ポッリオ氏が言及したムーサの水と同じものか?」についても触れられることはありませんでした。
また、この書籍には「ムーサの水」だけでなく、古代ギリシア人が飲んでいたとされる「オイノメル」のレシピも掲載しています。ヒル氏はオイノメルについて「健康を維持するだけでなく、病気の苦しみからも解放される」と述べています。レシピには「よく熟成されたワインを1.25ガロン(約4.7リットル)用意し、0.5ガロン(約1.9リットル)の良質の蜂蜜を混ぜるだけ」と記述されており、非常に甘いワインを作るレシピが書かれていました。
記事作成時点でフィルポット氏は、これ以前に養蜂について書かれた書籍が見つかっていないことから、「ヒル氏の書いたマニュアルこそが養蜂について英語で書かれた最初の書籍です」と述べています。
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