「未来のミライ」公開直前の細田守監督&上白石萌歌&高木正勝が作品や音楽について語る
映画「未来のミライ」のオリジナルサウンドトラックCDが2018年7月11日(水)に発売されたのを記念して、細田守監督、主人公・くんちゃん役の上白石萌歌さん、音楽担当・高木正勝さんによるトークイベントがタワーレコード渋谷店で開催されました。
「未来のミライ」公式サイト
http://mirai-no-mirai.jp/
細田守監督最新作「未来のミライ」 オリジナル・サウンドトラックCD発売記念イベント - TOWER RECORDS ONLINE
http://tower.jp/store/event/2018/07/003143
タワーレコード前ではくんちゃんが写真撮影や握手に応じていました。
◆「未来のミライ」の着想
作品の着想を得たのは、細田監督のお子さんが3歳と0歳だったときのこと。両親の「愛」が赤ちゃんに行ってしまい、上の子はひっくり返って、転げ回って泣いていたそうです。
その「愛を失った人間の哀れな姿」を見て、大人になっても愛を失うと同じように取り乱してしまうのではないかと思った細田監督は、これはいろんな世代に当てはまることだと思い、映画にすることを決めたのだそうです。
マイクを持っているのが細田監督、その右に上白石萌歌さん、そして高木正勝さん。
映画では兄妹のことを描いていますが、細田監督自身はひとりっ子。もし兄弟がいたら愛を巡る葛藤はもっと早く訪れていたのかもしれないと、違いをうらやんでいました。
一方、役柄としてはお兄ちゃんである「くんちゃん」を担当する上白石萌歌さんは、実際には2つ上に女優・歌手として活躍する上白石萌音さんがいる「妹」の立場なので、くんちゃんを演じることで、お兄ちゃんの立場を教えてもらう形になったとのこと。「4歳の男の子」とは性別も年齢も異なりますが、喜怒哀楽や嫉妬の心は子どもから大人まで共通して持っているものなので、一番ストレートに感情を解放できる立場として代弁できたらいいなと思って演じたそうです。
この作品に音楽をつけた高木さんも「弟」。そのため、くんちゃんがじたばたする様子をあきれたような顔で見ている赤ちゃんのミライちゃんの立場に近く、ミライちゃんを見るたびに「そうそう」と共感していたそうです。
◆「くんちゃん」役に選んだ理由
上白石さんはもともと、オーディションではミライ役を受けていました。細田監督も、4歳の男の子という役柄であることから、担当するなら実際に小さい子か、あるいはベテラン女性だろうと考えていたそうです。
ところが、いざ上白石さんに出会った細田監督はピンと来てくんちゃんを演じてもらい「ああ、もうこれはくんちゃんだ」と感じたとのこと。自身が抱いていた固定概念を「ぶち壊してもらった」と語りました。
◆細田守監督×高木正勝、3度目のタッグ
細田監督と高木さんが組むのは「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」に続いて本作が3度目。これまでは絵コンテが上がったところで高木さんに読んでもらい曲を作ってもらっていたそうですが、今回、細田監督は早い段階から高木さんに依頼するつもりだったため、初稿を読んだ高木さんが感想文のようにメモやスケッチを作って監督に返し、これまでよりも早い段階から密に連絡を重ねていったとのこと。監督としては「高木さんのデモを聞きながら絵コンテを描きたい」という勢いだったそうです。
本作の音楽について「SFチックな無機質な音とナチュラルな音が融合している印象があった」と話を向けられた高木さん。実は、初期プロットで「くんちゃんのふしぎな庭」というタイトルだったときに話をもらい、家の外にあって道路に面しているような庭をイメージしていたのですが、絵コンテで庭が「中庭」であることがわかったため、無機質な雰囲気が必要であると逆算して今の音楽になったということを明かしてくれました。
曲名は「Inner Garden」「Hora, Thello」のように英語やラテン語でつけられています。
監督は曲名ではなく「M-○○」というMナンバーで覚えているとのことで、サントラのブックレットを確認。
「くんちゃんのテーマ」のようなつけ方や「逃げろ!」と場面に合わせたつけ方もあるのですが、高木さんは「自分としては音楽をこのようなイメージで作りました」という意味を込めたものにしているとのこと。
映画のサントラという話題では、かつてマイケル・ナイマンの音楽を聞いてイメージを膨らませてから映画を見ていたことがあるという細田監督は、サントラを聴いてからみるのも楽しみ方の1つかもしれないと語りました。
今回、会場にはピアノが用意され、高木さんが生で3曲の演奏を披露してくれました。
2曲は「未来のミライ」から、そして最後の1曲は監督と上白石さんのリクエストに応じて「おおかみこどもの雨と雪」から。
◆「高木正勝」音楽の魅力
デモのやり取りで最初から驚かされる、とは細田監督。監督自身、今までにないものにチャレンジして面白さをみつけていきたいと考えて作品作りをしていますが、高木さんの音楽もまた「○○風」ではなく、オリジナリティが存分に発揮されているところがすごいと絶賛しました。
日本では「音楽のオリジナリティ」について強く触れられることはないのですが、細田監督がフランスへ行って映画祭で取材を受けていたりすると「そのオリジナリティはどこから来ているの?日本的な風土から?」といろいろ質問を受けるとのこと。本作の音楽も、国境を越えて高い評価を受けることになるかもしれません。
映画「未来のミライ」は2018年7月20日(金)公開。
「未来のミライ」予告3 - YouTube
そして「未来のミライ」のオリジナル・サウンドトラックは2018年7月11日(水)に発売済み。価格は2700円です。
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なお、このイベントは毎週月曜21時30分から放送されているTOKYO FMの「大家志津香のエン活!」の公開録音も兼ねていて、細田監督らのトーク内容は7月23日(月)・30日(月)に2週連続でオンエアされることになっています。とても楽しげなトークだったので、予定が合う人はぜひ聴いてみてください。
ちなみに、細田監督自らが執筆した映画の原作小説も2018年6月15日(金)に発売されています。
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