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18歳の少女が「ダンスをSNSで公開した」ことで逮捕される事態に


イランで、かぶり物をせずに自分のベッドルームでダンスを踊っている様子をSNSで公開した18歳の少女が逮捕・勾留されたとして物議をかもしています。少女の行動を批判する人がいる一方で、「ダンスを踊ることは罪ではない」とSNS上にダンス映像の数々が投稿される事態となっています。

Iran, Instagram and the case of dancing teen Maedeh Hojabri | Iran News | Al Jazeera
https://www.aljazeera.com/news/2018/7/9/iran-instagram-and-the-case-of-dancing-teen-maedeh-hojabri


After Instagram star Maedeh Hojabri is arrested over dance videos, Iranian women post clips of themselves dancing - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/news/worldviews/wp/2018/07/09/iranian-women-are-posting-videos-of-themselves-dancing-in-support-of-arrested-instagram-star/

18歳のMaedeh Hojabriさんはダンスを踊っているムービーを自身のInstagramアカウントに投稿している女性。自分の部屋で著名アーティストの音楽に合わせて踊る様子は、アメリカのティーンエージャーのアカウントならよく見られるものです。しかし、SNSにダンスムービーを投稿したがために、Hojabriさんは逮捕されるにいたっています。

Teenage dancer, Maedeh Hojabri, was arrested in Iran. She used to record dance videos in her bedroom and upload them to her instagram with 600K followers.#مائده_هژبرى pic.twitter.com/3EDVR9veV3

— Negar (@NegarMortazavi)


イスラム共和制のもとでは、女性は公共の場で頭にかぶり物をする必要があり、また、女性のダンスも禁じられています。一方で、このようなルールに反発する女性も存在し、抗議のため公共の場であえてかぶり物をとる様子を撮影し、ムービーをSNSに投稿する女性も存在するとのこと。このような流れを受けて、政府はTelegramなどのメッセージングアプリをブロックしています。


Hojabriさんは身柄が解放されてからテレビ番組に出演した際、「他の人が同じことをするように推奨しているわけではない」という旨を述べています。注意喚起の目的はなく、ただシンプルに「フォロワーの人とシェアしたかった」という意図について説明しました。

しかし、テレビ番組の放映後、改革派聖職者のMohamad Taghi Fazel Maybodi氏はHojabriさんの意見を放映したことについて「女性に告白させ、それを放映したことは、女性の家族の顔に泥を塗ることだ」と批判。「イスラム教は女性と家族のプライバシーを重視しますが、このテレビ番組の重役たちはこのような宗教的慣習を無視し、人々の評判をもてあそびました」とMaybodi氏は語りました。Maybodi氏はHojabriさんが公開したムービーの適切性については直接コメントを行いませんでしたが、「国営テレビに横領犯がやってきて、公共の物を盗んだことや、堕落について告白することは大きな罪です。それが公共物の盗みであれダンスであれ」と間接的な非難を行っています。

一方で、2014年にファレル・ウィリアムスの「Happy」にあわせて踊った逮捕されたファッションフォトグラファーReihane Taravatiさんは「当局は2014年に『Happy』だったという理由で23歳の私を逮捕しました。今回逮捕されたMaedeh Hojabriさんは18歳です。次の世代には何をする気ですか?」とコメントを投稿。

You arrested me for being #Happy when I was 23. Now you arrest #MaedehHojabri and she is only 18! What will you do to the next generation?

— Reihane Taravati (@reihanetaravati)


イラン・テヘラン大学の哲学教授でありコメンテーターのElham Kadkhodaeeさんは、SNSに投稿された素材は「明らかに公共性があり、法律が執行される範囲です」と強調しており、ムービーは、イランのような国でSNSが使われることについて考えるべき要素をいくつか含んでいると指摘。「イランが他の国とは違う独自の文化、慣習、水準などを持っていることを指摘するのは、非常に重要なことです」「異なる国々が、社会的・文化的問題に対して異なるアプローチを持っているという現実を私たちは理解すべきです」と語りました。

またジャーナリストであるNegar Mortazavi氏はHojabriさんの逮捕と勾留について、かぶり物の強要と合わせて「非常に政治的な問題」「イスラム共和国の権力が可視化された」とコメントしました。Mortazavi氏の友人の1人はかぶり物をしていたにも関わらず「これは十分ではない」「カラフル過ぎる」として逮捕されたとのこと。このような政府の規制に怒りを抱く人も少なくなく、近年のイラン女性の中には規制に反対する姿勢を示すために「クリエイティブな方法」を取る人も存在します。ただしHojabriさんに関しては、Mortazavi氏は「無垢(むく)な10代の少女がベッドルームで、政治的なスローガンを表現するためではなく、ダンスを楽しむ誰かのために踊ったこと」だとしています。

なお、イランのメディアは「当局がInstagramアカウントの禁止やサイトへのアクセス禁止を検討している」ということを伝えています。その一方で、Hojabriさん逮捕を受けて、InstagramといったSNSでは「#dancing_isnt_a_crime(ダンスは犯罪じゃない)」というタグを付けた数多くの動画がアップロードされています。

Iranians post home videos of their dancing to show solidarity with famous instagram celebrities who were arrested for posting their videos online. #مائدة_هژبرى pic.twitter.com/vJBudlIzSK

— Negar (@NegarMortazavi)

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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