NSAが国内最大手通信会社のネットワークを利用して極秘に情報収集を行っていたことが明らかに
アメリカ国家安全保障局(NSA)が、アメリカ最大手の通信会社AT&Tのデータ施設を利用して、メール・ウェブブラウジング・ソーシャルメディアなどさまざまな情報を極秘裏に収集していたと、アメリカのネットメディア・The Interceptが報じています。
The NSA’s Hidden Spy Hubs in Eight U.S. Cities
https://theintercept.com/2018/06/25/att-internet-nsa-spy-hubs/
AT&Tは世界でも最大規模のネットワークを所有していて、2018年3月時点で1営業日に約197ペタバイトものデータがやり取りされているといわれています。NSAが1985年からAT&Tと協力して大規模な情報収集と監視を行っているということは以前から報告されていましたが、具体的にどのように行われていたのかはわかっていませんでした。
The Interceptは2016年に、アメリカ・ニューヨークのマンハッタン中心部にある、AT&Tの子会社が運営するデータセンターがNSAの監視施設であると特定していました。今回のThe Interceptによる報告書は、エドワード・スノーデン氏が提供した内部文書を基にさらなる調査を行ったもので、アメリカのシカゴ・ダラス・アトランタ・ロサンゼルス・ニューヨーク・サンフランシスコ・シアトル・ワシントンD.C.にあるAT&Tのデータ施設でNSAが通信データを収集していたことを明らかにしています。
NSAのモニタリングプログラムは、AT&T内では「SAGUARO」というコードネームで呼ばれており、2015年にスノーデン氏によって存在が暴かれたNSAの監視ソフトウェア「Xkeyscore」によって、メールやウェブトラフィックなどのネットワーク上のデータを自由に検索できたとのことです。
AT&Tと他のネットワークとの間で行われるデータ交換は、カリフォルニア州の企業が所有・運営する第三者のデータセンターにおいて、AT&Tの管理下で行われているとThe Interceptは報告しています。収集されたデータは、NSAが活用する8箇所のAT&Tのデータセンターを介して全国のデータセンターに共有されます。AT&Tで22年間技術者として働いていたマーク・クライン氏は「8箇所のデータセンターを中心に結ばれたネットワークをモニタリングすることで、NSAはAT&Tのネットワークや他社のネットワークのデータを収集していた」と証言しています。
なお、The Interceptが、AT&Tのグローバルネットワークと協力関係にあるSprint・Telia・Tata Communications・Telecom Italia・Deutsche Telekomに対してコメントを要請したところ返事はなく、CenturyLinkは「国家安全保障の問題については議論しない」と述べたそうです。
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